マンガンはカルシウムやリンと共に骨の形成に関与しています。また、糖質、脂質、タンパク質の代謝に関わる酵素の構成成分であり、タンパク質の合成やエネルギー産生に不可欠なミネラルです。マンガンは土壌から栄養を吸収する植物性食品に多く含まれており、動物性食品には少ないです。ただし、日本人の間ではマンガン不足が見られることはありません。



マンガンとは?

マンガンは補酵素として機能し、多くの酵素の活性化に働きます。

たとえば、成長期の子供が骨を形成する際には、マンガンを補酵素とする酵素が必要とされます。これにより、骨や関節を強化する結合組織を形成することができます。成長期においてマンガンが不足すると、子供の発育不全のリスクがあります。また、マンガンは糖質、脂質、タンパク質の代謝に関与する多くの酵素の構成成分となっており、タンパク質の合成やエネルギー産生にも必要なミネラルです。

マンガン不足では、性ホルモンの合成能力の低下や妊娠能力の低下が報告されています。また、マンガン欠乏症の動物から生まれた子供は、運動機能の障害や平衡機能の障害が見られることが分かっています。逆に、マンガンを十分に摂取した動物から生まれた子供には、運動機能の障害は見られません。

マンガンは土壌中に存在しており、土壌から栄養を吸収する植物性食品に多く含まれます。一方、動物性食品には少ない傾向があります。特にマンガン含有量が高い食品としては、お茶が挙げられます。ただし、お茶を飲む場合には茶葉に含まれるマンガン量はほとんど摂取されません(わずか1%)。他には、種実類、穀類、豆類がマンガンを多く含んでいます。動物性食品全体ではマンガン量は比較的低いですが、カキなどの貝類には多く含まれます。

日本人においてマンガン不足は一般的には見られませんが、摂取の上限量は11mgとされています。通常の食事での摂取では過剰になる心配はありませんが、摂り過ぎると中毒のリスクがあります。適切な範囲でマンガンを摂取することが重要です。

マンガンの効果

骨の代謝を助ける

軟骨に必要な成分であり、カルシウムやリンなどと共に働いて骨の形成や骨や関節の正常な状態を維持する役割を果たしています。

 

糖質や脂質、タンパク質の代謝を助ける

糖質と脂質、タンパク質の代謝に関与する多くの酵素の構成成分となり、エネルギー生産やタンパク質の合成などを促進させる働きがあります。子どもの成長に重要な栄養素です。

マンガンが摂れる食べ物

ショウガ 5.01mg

レンコン 0.78mg

シソ 2.01mg

玄米 2.06㎎

黄大豆(国産・乾) 2.27mg

クルミ(いり) 3.44㎎

※可食部100gあたり

※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より

こんな方におすすめ

成長期の子ども

妊娠を考えている人、妊娠中の人

疲労を感じている人

おさらい

骨の形成や骨や関節を正常に保つ働きを助ける

不足すると発育不全のリスクがあるため、成長期の子どもには必要

タンパク質の合成やエネルギーの産生にもなくてはならないミネラル


参考文献

・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)

・正しく知れば体が変わる!栄養素の摂り方便利帳(発行所 株式会社PHP研究所)

・NHK出版 健やかな毎日のための栄養大全(発行所 NHK出版)

・食品成分最新ガイド 栄養素の通になる第2版(発行所 女子栄養大学出版部)


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