うこぎはウコギ科の落葉低木で、樹高は2m~7m。岩手県や山形県では古くから食用として利用され、春に伸びた新芽が収穫されます。栄養価が高く、ポリフェノールや食物繊維、カルシウム、ビタミンCなどを豊富に含みます。「うこぎのほろほろ」はうこぎをゆでて刻み、味噌漬け大根やくるみと混ぜ、ふりかけのようにして食べられます。これは岩手県の郷土料理で、うこぎの旬の時期にはスーパーや産地直売所で入手可能です。
うこぎとは?
うこぎはウコギ科の落葉低木で、樹高は2m~7mほどです。短枝が多く、4mm~7mmほどの細いとげがあります。山野に自生していますが、岩手県や山形県では古くから食用として利用され、垣根としても用いられています。春に伸びてきた新芽を収穫して食べます。
日本には古くから存在し、最古の本草書である「本草和名」(918年)にも記載があります。春にうこぎの芽が出る時期に食され、冬の間に不足していた栄養素を補う意味もあることから、救荒食品として利用されてきました。栄養価が高く、ポリフェノールや食物繊維、カルシウム、ビタミンCなどを豊富に含んでおり、抗酸化作用や血糖値低下作用、コレステロール低下作用、腸内環境改善などの効果があることが近年明らかになっています。
「うこぎのほろほろ」は、「うこぎ」をゆでて刻み、味噌漬けの大根やくるみと混ぜてふりかけのようにしたものです。「ほろほろ」という名前の由来は、南部藩の武士が食べようとしたら箸からほろほろとこぼれ落ちたことからきていると言われています。
うこぎは今でも生垣や畑の端に植えられ、旬の時期にはスーパーや産地直売所、青果店で販売されます。また、この時期には「うこぎのほろほろ」で使用するくるみや味噌漬け大根も店頭に並びます。
■うこぎのほろほろ(岩手県の郷土料理)
うこぎをゆでて水を十分に切り、細かく刻みます。味噌漬け大根とくるみも同様に細かく刻んで混ぜます。作る際には、うこぎの量によって味が変わります。うこぎが多いと淡白な味に、味噌漬け大根が多いと長持ちし、くるみが多いとコクが出ます。焼き味噌を入れることもあります。ご飯に添えたり、パンに挟んだりして食べることもできます。
うこぎの効果
■抗酸化作用
うこぎには、ビタミンCが含まれています。ビタミンCは抗酸化作用が強く体内の酸化を抑制する働きがあります。
■血糖値の抑制
うこぎに含まれる水溶性食物繊維は、粘度が高く、小腸での糖質の吸収速度が穏やかになるため、食後の急激な血糖値の上昇を抑える効果があります。
■コレステロールの抑制
うこぎに含まれるポリフェノールの1つであるカテキンには、コレステロールを減らす効果があります。
こんな方におすすめ
●老化が気になる人
●血糖値が気になる人
●コレステロール値が気になる人
おさらい
●うこぎは山野に自生していますが、岩手県や山形県では古くから食用として利用されている
●栄養価が高く、ポリフェノールや食物繊維、カルシウム、ビタミンCなどを豊富
●抗酸化作用、血糖値やコレステロールを下げる効果がある
・うちの郷土料理> うこぎのほろほろ 岩手県(農林水産省)
・BAP法による米沢伝統野菜ウコギを中心とした野菜の抗酸化能評価(日本家政学会誌 68 (7), 337-342, 2017)
・ウコギ (Acanthopanax sieboldianus) 葉のラットにおける食後血糖上昇抑制作用(日本栄養・食糧学会誌第57巻第6号271-275(2004))
・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)