カロテノイドはにんじんから発見されたことからわかるように、にんじんには野菜の中でも屈指のβ-カロテンが含まれます。にんじんのβ-カロテンは主に皮に多く含まれていますので、そのまま皮をむかずに使用することがおすすめです。また、にんじんの葉にはビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富に含まれています。京にんじんなどの東洋系にんじんは赤色ですが、その原因はリコピンです。リコピンにはビタミンAの効果はありませんが、強力な抗酸化作用があります。
にんじんとは?
にんじんに含まれているβ-カロテンは、100gあたり皮付きで6900μgです。小さいにんじんを1本食べただけで、1日のビタミンAの推奨量を満たします。
β-カロテンは皮にたっぷり含まれていて、葉にもビタミンやミネラルが豊富です。皮や葉は捨てずに活用しましょう。にんじんは生のままでは吸収率が10%ほどしかありませんが、油と一緒に摂ると吸収率は60〜70%にアップします。炒め物のレシピに取り入れると良いでしょう。
β-カロテンは体内に入ると必要に応じてビタミンAに変わりますが、β-カロテンが過剰摂取された場合は、尿と一緒に排出されるため、β-カロテンの過剰摂取は心配ありません。
にんじんには、アスコルビナーゼという酵素が含まれています。生でほかの野菜と組み合わせると、その野菜のビタミンCを破壊してしまうため、加熱するか酢やレモンを加えると酵素の働きを抑えることができます。
にんじんは日本各地で生産されていますが、生産量が多いのは北海道と千葉であり、青森、徳島、埼玉、愛知が続きます。
にんじんは本来、気温が低い地域で育つ野菜ですが、地上部の温度適応性の幅が広く、また可食部が気温の変化を受けにくい地中にあるため、栽培期間が長くなります。旬は晩秋から冬にかけてです。
■選び方
オレンジ色が濃く、表面にハリがありなめらかなものを選びましょう。
■保存方法
新聞紙に包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に立てて入れるのがポイントです。
にんじんの効果
■血中コレステロールの改善に
活性酸素が血中のLDL(悪玉)コレステロールと結びつくと、酸化して変性LDLになります。これが血管の壁に取り込まれ、どろどろとした固まりになりますが、にんじんに含まれるカロテノイドは活性酸素を消す強い効果があることがわかっています。
■血圧改善に
にんじんに含まれるミネラルのカリウムは血圧を安定させる働きがあります。
■免疫力を高める
にんじんに含まれるビタミンAは、皮膚や粘膜の上皮細胞の代謝を活発にします。
こんな方におすすめ
●免疫力を高めたい人
●高血圧が気になる人
●血中コレステロールが気になる方
おさらい
●にんじんに多いβ-カロテンは皮にたっぷり含まれている
●にんじんに含まれるカロテノイドは、活性酸素を除去し血中コレステロールの改善に役立つ
●血圧改善、免疫力を高めることにも期待できる
・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)
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・春夏秋冬 おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典(発行所 株式会社エクスナレッジ)