ふじまめは若いさやを食べる豆で、収穫のタイミングにより風味や食感が左右されます。地域によって「千石豆」「つるまめ」「だらまめ」などと呼ばれ、親しまれています。漢方では「扁豆」として用いられるほど栄養価が高く、消化不良や下痢に効果があるとされます。ビタミンB群、タンパク質、カリウム、カロテン、不溶性食物繊維などを豊富に含み、便秘改善や血圧低下にも役立ちます。
ふじまめとは?
ふじまめは、主に若いさやを食用とする豆です。熟した豆も食べられますが、熟しすぎるとさやが硬くなり、早すぎると風味が乏しくなるため、収穫のタイミングが味を大きく左右します。伊勢地方では「千石豆(せんごくまめ)」、石川県では「つるまめ」とも呼ばれますが、同じ石川県内でも金沢では「だらまめ」と呼ばれるなど、地域によってさまざまな呼び名で親しまれています。
栄養価の高い豆類の例にもれず、ふじまめも「扁豆(へんず)」という漢方薬の原料になるほど栄養豊富です。扁豆とは、ふじまめの種子を乾燥させたもので、消化不良や嘔吐、下痢などに効果があるとされています。
ふじまめには、ビタミンB1・B2、タンパク質、カリウム、カロテン、食物繊維などが含まれています。特に不溶性食物繊維が豊富で、便秘の予防・改善に役立ちます。また、カリウムには血圧を下げる働きも期待できます。
■調理との組み合わせ方
和え物や天ぷらとして食べるのが一般的です。さっと茹でてサラダにすれば、しゃきっとした食感が楽しめます。さやには硬い筋があるため、調理前に取り除いておきましょう。揚げ物や煮物に使う場合は生のままでも調理できますが、食感を損なわないよう加熱しすぎには注意が必要です。サラダや和え物にする際は下茹でが必要で、沸騰した湯に1分ほど茹でた後、冷水にとって色止めを行いましょう。
■選び方
成長しすぎたものは硬くなるため、若くて柔らかく、弾力のあるものを選びましょう。さやの表面がみずみずしく、シワのないものが新鮮です。
■保存方法
さや付きのものは乾燥に強く、比較的長く保存できますが、生のままだと風味ややわらかさが落ちやすいため、早めに食べきるのが理想です。硬めに茹でてから冷凍すれば、日持ちさせることもできます。
ふじまめの効果
■貧血を予防する効果
赤血球は約4か月で生まれ変わるため、体内では常に新しい赤血球がつくられています。ふじまめに含まれる葉酸は赤血球のもととなる赤芽球をつくることに関与しており、赤芽球が正常につくられないと赤血球も正常につくられません。葉酸を摂取することは、正常な赤血球をつくることに役立ち、貧血の予防にもなります。
また、葉酸が不足することで起こる貧血は巨赤芽球性貧血(悪性貧血)といいます。
■腸内環境を整える効果
ふじまめに含まれる食物繊維は、腸内に溜まった老廃物や有害物質を吸着し、体外へ排出する働きがあります。また、腸内の善玉菌であるビフィズス菌や乳酸菌を増やす働きもあるため、腸内細菌のバランスが良くなり、腸内環境の改善に役立ちます。
腸内環境が整うことで、便秘の予防や改善にも効果が期待できます。
■免疫力を高める効果
ふじまめに含まれるタンパク質は、体を構成する細胞になるほか、体を細菌やウイルスなどから守る免疫細胞のもとにもなります。免疫細胞が活性化されると、免疫力を高めることにつながります。
こんな方におすすめ
●貧血が気になる人
●便秘で悩んでいる人
●免疫力を高めたい人
おさらい
●ふじまめは若いさやを食べる豆で、収穫のタイミングにより風味や食感が左右される
●漢方では「扁豆」として用いられるほど栄養価が高く、消化不良や下痢に効果がある
●ビタミンB群、タンパク質、カリウム、カロテン、食物繊維などを豊富に含み、便秘改善や血圧低下にも役立つ
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