のらぼう菜は、埼玉県比企郡から東京都あきる野市、神奈川県川崎市にかけての山間地帯で栽培される地域伝統野菜。アブラナ科アブラナ属セイヨウアブラナ(Brassica napus L.)の一種で、抽苔した花茎の部分が食用。苦味やくせがなく、ほのかに甘味があることが特徴で、ビタミンCの含有量が多いアブラナ科野菜と言われています。しかし、就農者減少と高齢化により生産者減少傾向です。地域の取り組みで特産野菜として推奨され、生産拡大が進められています。



のらぼう菜とは?

のらぼう菜は、埼玉県比企郡から東京都あきる野市、神奈川県川崎市にかけての山間地帯を中心に栽培されている地域伝統野菜であり、抽苔した花茎の部分を食べる「菜っ葉」です。

アブラナ科の植物は、ヨーロッパの地中海沿岸部を起源とし、葉菜類の野菜として数多くの品目が生産されています。狭義の意味で、アブラナ科アブラナ属の葉莱を「菜っ葉」と呼ぶようですが、奈良時代以前に中国から渡来した「菜っ葉」は食用だけでなく、油の搾取などの工芸作物として栽培されるなど、様々な用途に利用されていたようです。

江戸時代に入ると、京都ではすでにミズナが名産品として挙げられ、明治時代にはハクサイやタアサイが中国から導入され、日本全国に多種多様な「菜っ葉」が広がったと言われています。現在では野沢菜、大阪白菜、広島菜など、各地域における食文化の一つとして各地に「菜っ葉」が存在します。のらぼう菜もアブラナ科アブラナ属セイヨウアブラナ(Brassica napus L.)の一種のため「菜っ葉」です。

のらぼう菜は、埼玉県比企郡では栽培を奨励する古文書が見つかったり、東京都あきる野市の神社には、飢鐘の際に救荒作物として多くの人の命を救ったなど、多くの歴史的背景をもっています。のらぼう菜は、ビタミンCの含有量が多いアブラナ科野菜と言われており、一般的なナバナのような花弁と比べて苦味やくせがなく、ほのかに甘味があることが特徴です。

しかし、就農者の減少と高齢化に伴い、のらぼう菜を生産する農家も次第に減少しているようです。そのため、古くからのらぼう菜を栽培してきた生産者や団体を中心に、のらぼう菜を特産野菜として推奨し、生産規模を拡大する取り組みが行われています。のらぼう菜の収穫は2月下旬から開始され、4月に最盛期を迎え、5月に終了するようです。埼玉県比企郡の生産量は年間に約90トンと言われており、小規模生産です。

のらぼう菜の効果

老化を防ぐ

のらぼう菜に含まれるビタミンCは、抗酸化作用が強く体内の酸化を抑制する働きがあります。

 

免疫力を高める

ビタミンCは、身体の中に入ってくるウイルスを排除しようとする働きがある「白血球」を強化してくれます。それだけではなく、自らもウイルスを排除しようとする働きがあります。風邪が流行する時期には、ビタミンCを摂取することをおすすめします。

 

ストレス対策に

ストレスが生じると、抗ストレスホルモンであるアドレナリンという副腎髄質ホルモンが分泌され、血圧を下げて血中の糖分を増やし、エネルギーの増産態勢を整えます。ビタミンCは副腎髄質ホルモンの生成に関与し、エネルギーを増やすことに役立ちます。

こんな方におすすめ

老化が気になる人

免疫力を高めたい人

ストレスが気になる人

おさらい

のらぼう菜は、山間地帯を中心に栽培されている地域伝統野菜

苦味やくせがなく、ほのかに甘味があり、ビタミンCの含有量が多いアブラナ科野菜

ビタミンCは抗酸化作用があり、また免疫力を高めたり、ストレス対策にも良い


参考文献

・関東地方の伝統野菜「のらぼう菜」(Brassica napus L.)の品質について(日本食品保蔵科学会誌 41巻・1号,p.17-24 2015年01月)

・うちの郷土料理> のらぼう菜のおひたし 神奈川県(農林水産省)

・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)


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