オクラは、アフリカ東北部が原産地であり、エジプトでは2千年前から栽培されていた記録もあります。かつては気温の高い地域で主に栽培されていましたが、現在は日本全国で広く栽培されています。
オクラを切ったり刻んだりすると生じる独特の粘りは、水溶性食物繊維のペクチンによるものです。水溶性食物繊維には、整腸効果や血糖値の上昇を抑える効果、LDL(悪玉)コレステロールの吸収を妨げる効果などがあり、糖尿病の予防にも有効とされています。
また、オクラに含まれる糖タンパク質のムチンは、粘膜の保護作用を持つ成分であり、気管や消化器全般、特に胃炎や胃潰瘍の予防に役立つと言われています。さらに、オクラにはタンパク質の分解を助ける酵素も含まれており、消化をサポートする役割も果たします。そのため、胃腸が弱りがちな真夏には、体力をアップさせるためにも積極的に摂取したい野菜です。
オクラとは?
オクラは、ネバネバ成分として水溶性食物繊維のペクチンや糖タンパク質のムチンを含んでいます。100gあたりのオクラの栄養成分は以下の通りです。
- 食物繊維: 5.0g(ごぼうに匹敵)
- ビタミンB1: 0.09mg
- ビタミンC: 11mg
- β-カロテン: 520μg
- タンパク質: 2.1g
- カルシウム: 92mg
- 鉄: 0.5mg
オクラに含まれるペクチンは良質な食物繊維であり、腸の動きを活発にし便通を促進します。また、有害物質の吸収を防ぎ、発がん物質を排出するため、便秘の解消だけでなく、大腸がんの予防にも役立ちます。さらに、肌荒れや肥満の予防にも効果があり、タンパク質の消化吸収を助けます。ペクチンは糖尿病の予防や治療にも役立ち、コレステロールを減少させたり、血圧を下げる効果もあります。生活習慣病の心配がある人にとっては頼もしい食材です。
オクラはカレーやシチューに加えることもできますし、さっと茹でてバターで炒めるだけでも手軽に栄養素を摂取することができます。さまざまなレシピで活用してみてください。
■選び方
緑が濃くて角が立っていて、均一にやわらかそうな産毛が生えているもの。
■保存方法
ラップに包んで冷蔵庫で保存するが、すぐに食べないときは、固めに塩茹でして冷凍保存がおすすめ。
■ネバネバが苦手ならスープで
オクラのネバネバが苦手な人には、スープでの摂取がおすすめです。オクラに含まれるペクチンは水に溶けやすい性質を持っているため、スープにすることでネバネバ感を軽減することができます。スープにすることで溶け出した栄養素もしっかりと摂取することができます。
オクラの効果
■整腸効果
水溶性、不溶性ともに食物繊維が豊富なため、腸の機能を整えて便秘予防に最適です。
■糖尿病対策
水溶性の食物繊維には、血糖値の上昇を抑えたり、LDL(悪玉)コレステロールの吸収を防ぐ効果があります。
こんな方におすすめ
●便秘で悩んでいる人
●腸内環境を整えたい人
●血糖値が気になる人
おさらい
●オクラにはネバネバ成分の水溶性食物繊維のペクチンと糖タンパク質のムチンが含まれている
●ペクチンは良質な食物繊維で、腸を活発にして便通を整える
●ムチンは粘膜の保護作用をもち、胃炎や胃潰瘍の予防にも役立つ
・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)
・春夏秋冬 おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典(発行所 株式会社エクスナレッジ)