聖護院だいこんは、苦味が少なく甘味があり、歯切れも抜群です。煮物に適しており、大きめに切って煮込むと味がよく染み込みます。京都の聖護院一帯で広く栽培され、淀地区でも栽培が盛んになりました。ビタミンCやジアスターゼが豊富で、消化を助ける健康的な野菜として知られています。
聖護院だいこんとは?
聖護院だいこんは、人の頭ほどもある丸く大きなだいこんです。江戸時代末期に尾張の国から奉納された細い宮重だいこんを聖護院で作り始め、太くて短い形のものを選んで毎年種をとり栽培しているうちに、とうとう丸型のだいこんが採れるようになりました。土壌の浅い京都の土によく適していたため、聖護院一帯に栽培が広がり、聖護院だいこんという名で呼ばれるようになりました。明治期以降には、鞍馬口や鷹峰などでも栽培されていましたが、昭和に入ってからは、京都の南、巨椋池近くの淀地区での栽培が盛んになり、今では聖護院だいこんよりも、淀だいこんとして京阪市場に出荷されています。
肉質がきめ細やかな聖護院だいこんは、苦味が少なく甘味もあり、歯切れも抜群です。さらに、柔らかい肉質に対して煮崩れが少なく、煮物には欠かせません。大きめに切ってコトコト煮込むと、味が中まで染み込みます。おでんやブリとの煮物、風呂吹きだいこんにするほか、塩を振ってしんなりさせ、サラダにするなどそのままでも美味しくいただけます。
聖護院だいこんに含まれるビタミンCは、遺伝子を傷つけるという活性酸素の生成を抑えると言われています。消化を助けるジアスターゼが多く含まれており、体に優しい野菜です。
■聖護院だいこんの選び方
ハリがあって傷が少なく、葉は鮮やかでみずみずしいもの。
■調理方法
素早くおいしく茹でるには、ティーパックに米をスプーン1杯ほど入れたものや、ひとつかみの糠を茹で鍋に入れるのがおすすめです。アクや苦味がとれ、旨みが増します。米のとぎ汁でゆがいてもおいしく仕上がります。
■おでん
1〜2cmの厚みの角切りにし、ほかの材料と一緒に煮込む。
■和風サラダ
にんじん、きゅうりなどと一緒にサイコロ状に切って塩をし、わさび醤油で和える。
■ポトフ
乱切りにして、ソーセージやにんじんと一緒に固形ブイヨンで煮込む。
聖護院だいこんの効果
■免疫力を高める
聖護院だいこんに含まれるビタミンCは、身体の中に入ってくるウイルスを排除しようとする働きがある「白血球」を強化してくれます。それだけではなく、自らもウイルスを排除しようとする働きがあります。
■むくみを予防・改善する効果
ナトリウムの過剰摂取やカリウムの不足などにより、体内の水分バランスが崩れてしまうとむくみにつながることがあります。聖護院だいこんに含まれるカリウムを摂ることで、体内の水分バランスが調整され、むくみの予防や改善が期待できます。
■胃もたれ、胸焼けに
聖護院だいこんに含まれるジアスターゼという酵素には、食べすぎて疲れた胃腸の調子をととのえると言われています。
●免疫力を高めたい人
●むくみが気になる人
●胃もたれ、胸焼けが気になる人
おさらい
●聖護院だいこんは、苦味が少なく甘味があり、歯切れが良い
●肉質が柔らかなのに煮崩れが少なく、煮物には欠かせない
●ビタミンCやジアスターゼが豊富で、消化を助ける健康的な野菜として知られている
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