冬の京漬物の代表格である千枚漬には、「聖護院かぶ」が使われます。日本最大のかぶで、聖護院地域で栽培されたことに由来する名前を持ちます。聖護院かぶは真っ白できめ細やかな肌が美しく、さらに緻密でやわらかく上品な味わいがあるため、千枚漬けの他にもかぶら蒸しや風呂炊きなどの料理に使用されます。ビタミンCやカリウムが豊富に含まれ、根の部分だけでなく、葉の部分も栄養価が高いです。
聖護院かぶとは?
冬の京漬物の代表格として、かぶを昆布と漬けた千枚漬が挙げられます。その原料として用いられるのが、「聖護院かぶ」です。これは、日本最大のかぶであり、名前は京都市左京区聖護院地域で栽培されていたことに由来します。享保年間(1716〜1736)に、近江国の堅田地方(現在の滋賀県大津市堅田)の近江かぶの種子を聖護院の篤農家が持ち帰り、栽培が始まったのがはじまりです。その後、京都の風土に合わせて改良が重ねられ、今日見られる偏円形のかぶが育成されました。さらに、天保年間(1830〜1843)にはこのかぶを使った千枚漬が売り出され、人気を博したため、栽培が盛んになりました。秋から出回りますが、冬の寒さで甘みや香りが増すため、冬が最もおいしくなります。
真っ白できめ細やかな肌が美しい「聖護院かぶ」は、緻密でやわらかく、上品な味わいが魅力です。京都では、ほとんどが千枚漬に用いられますが、かぶら蒸しや風呂炊きなどの煮物をはじめ、冬の京料理には欠かせない食材です。脂ののった魚との相性も良いため、鯛のあらやブリと炊き合わせたり、スープやサラダなど、洋風の料理にも楽しめます。
聖護院かぶには、通常のかぶよりもビタミンCやカリウムが豊富に含まれており、根の部分だけでなく、葉の部分もビタミンやミネラルが豊富です。
■聖護院かぶの選び方
皮が傷なく滑らかでつやがあるもの。締まって重みのあるもの。
■調理方法
聖護院かぶの皮の下は、硬くて変色しやすいので、厚めに皮を剥いて、芯の柔らかいところを使うようにしましょう。剥いた皮は、千切りにして漬物などに使っても良いです。
■千枚漬
厚めに皮を剥き、薄く切る。塩漬けして水気を取り、昆布、調味料で漬ける。
■かぶら蒸し
すりおろして卵白と合わせる。甘鯛やゆりねなどを入れて蒸し、銀あんをかける。
■聖護院かぶのそぼろあんかけ
皮を剥いて適当な大きさに切り、茹でる。合わせ調味料で煮て、そぼろあんをかける。
■聖護院かぶのサラダ
かぶを細切りにし、好みのドレッシングで和える。
聖護院かぶの効果
■抗酸化作用
聖護院かぶに含まれるビタミンCには、抗酸化作用が強く体内の酸化を抑制する働きがあります。
■むくみ予防に
聖護院かぶに含まれるカリウムには、体内の水分バランスを調整し、むくみの予防や改善が期待できます。
■心疾患を予防する
聖護院かぶに含まれるマグネシウムには、カルシウムと拮抗して筋肉の収縮をスムーズにし、心臓を規則正しく拍動する働きに関わります。
マグネシウムが慢性的に不足すると、狭心症や心筋梗塞などを引き起こす可能性があるため、マグネシウムの摂取は心疾患の予防が期待できます。
こんな方におすすめ
●老化が気になる人
●むくみが気になる人
●心疾患を予防したい人
おさらい
●「聖護院かぶ」は日本最大のかぶで、京都の聖護院地域で栽培されたことに由来する
●千枚漬の他に、かぶら蒸しや風呂炊きなどの煮物をはじめ、冬の京料理には欠かせない食材
●ビタミンCやカリウムが豊富に含まれ、根の部分だけでなく、葉の部分も栄養価が高い
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