京都の名物である「すぐき漬け」は、すぐき菜を塩漬けにして乳酸発酵させたもので、古くから上賀茂神社の社家が手がけ、高貴な贈り物として知られています。製法は秘伝で、伝統の味を守るため厳しい寒さの中で作業が行われます。寒さが増すとすぐき菜はさらに甘みを増します。
すぐき菜とは?
すぐき菜を塩漬けにして、乳酸発酵させた「すぐき漬け」は、千枚漬けやしば漬けと並ぶ京都の代表的な漬物です。根が大きく成長するように、畑で間引かれた菜っ葉は、茹でてアクを抜き、煮物や和え物にしていただきます。
すぐき菜は、桃山時代に京都の上賀茂神社に奉仕する社家が種子を入手し、栽培から漬け込みまでを一貫して手がけ、高級食品として上流階級への贈り物にしたのがはじまりと言われています。種が地域外へ出るのを禁じ、製造方法も秘伝にし、上賀茂の特産品としました。今も、その製法は上賀茂地域の農家によって受け継がれ、すぐき生産農家は伝統の味を守るため、師走の厳しい寒さの中、収穫と漬け込みの作業を行います。ほとんどのすぐき菜は漬物として販売されます。
一部の農地で連作すると連作障害が起こるため、それを恐れ、離れた土地で栽培されたこともありましたが、気候や土壌が適さず、障害が起こらない強いすぐきを求め、品種改良に取り組んできました。
寒さが深まると霜が降り、すぐき菜は一段と甘みを増します。
■すぐき菜の選び方
葉が長く、緑の色が濃いものが望ましいです。根はふっくらとしており、傷がないことが重要です。漬物なら、ふっくら薄あめ色になったもの。
■すぐき菜のサッと煮
熱湯でさっと茹でて2〜3cmに切り、調味しただしで軽く煮て冷まします。
■すぐき菜のからし和え
熱湯でゆでて切ったすぐき菜を、からしを加えただしで和える。
■すぐき菜のベーコンのお味噌汁
2〜3cmに切ったすぐき菜とベーコンをだしで煮て、白味噌で調味する。
すぐき菜の効果
■腸内環境を整える
昔から自然の乳酸菌として、美容や健康に良いとされてきたすぐき漬け。乳酸菌は乳酸をつくり出し、腸内を酸性にすることによって、悪玉菌の増殖を抑えて腸内環境を整えます。それにより、腸の働きが活発化され、消化・吸収を促すことで便通を改善する働きがあります。
■免疫力を高める
すぐき菜に含まれるビタミンCは、身体の中に入ってくるウイルスを排除する働きがある「白血球」を強化し、かつビタミンCにもウイルスを排除する働きがあり
■肌の調子を整える
すぐき菜に含まれるビタミンAは、皮膚や粘膜などの上皮細胞の形成や機能に重要な役割を果たしています。上皮細胞は体内に侵入する病原菌を防ぐ役割があり、ビタミンAが不足すると皮膚が乾燥し、肌荒れが生じる可能性があります。
こんな方におすすめ
●腸内環境を整えたい人
●免疫力を高めたい人
●肌の調子が気になる人
おさらい
●すぐき菜を塩漬けにして、乳酸発酵させた「すぐき漬け」は、京都の代表的な漬物
●すぐき菜に含まれるビタミンCは、身体の中に入ってくるウイルスを排除しようとする働きがある「白血球」を強化する
●すぐき菜に含まれるビタミンAは、皮膚や粘膜などの上皮細胞の形成や機能に重要な役割を果たす
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