さつまいもは整腸作用のある食物繊維や、美容効果のあるビタミンCなどを多く含む食材です。
自然でやさしい甘さを活かし、焼き芋やスイートポテト、味噌汁や炊き込みご飯など、様々な料理に使われています。
さつまいもとは?
さつまいもは、江戸時代に薩摩(鹿児島県)に伝わったことから、「薩摩芋」と呼ばれるようになりました。
果肉の色にも種類があり、黄色は紅あずまや鳴門金時、オレンジ色は安納芋。紫色は紫芋、白色は黄金千貫など様々な品種があります。
旬は9~11月で、秋から冬にかけて水分が減り、その分糖度が上がって甘くなります。
さらに、さつまいもは時間をかけて加熱すると、さつまいもに含まれる消化酵素のβ-アミラーゼの働きにより、でんぷんが糖に変わって甘味が増します。甘味を増したいときは、電子レンジで加熱するより、蒸し器などでゆっくりと時間をかけて加熱する方法が良いでしょう。
さつまいもには食物繊維が含まれ、食べると腹持ちが良く、間食やサラダなどで食べるのがおすすめです。ただし、糖質が多いため、食べ過ぎるとカロリーの摂り過ぎになることもあり、注意が必要です。
皮の近くに食物繊維が多く含まれるため、食物繊維を摂取したい場合は、できるだけ皮ごと食べましょう。
切り口に出る白い液体は、ヤラピンという樹脂の一種で、さつまいも特有の成分です。緩下作用をもっているため、腸の蠕動運動を促し、便をやわらかくする働きがあります。
さつまいもにはりんごの約7倍のビタミンCが含まれます。ビタミンCは水溶性のため調理時に失われやすい成分ですが、芋類に含まれるビタミンCはでんぷんに保護されているため、流出が少ないという特長があります。
果肉が黄色やオレンジ色で濃いものは、抗酸化作用のあるβ-カロテンが多く含まれます。
その他の成分では、紫色の皮や果肉に、ポリフェノールのアントシアニンが含まれています。アントシアニンには、目の働きを高める効果や眼精疲労を予防する効果があるとされています。また、活性酸素の増加を防ぐ抗酸化作用もあり、アンチエイジングの効果も期待できます。
■さつまいもの選び方
皮の色がきれいで、ツヤがあり、見た目がふっくらとしたもの。持ったときにずっしりと重みのあるものを選びましょう。
傷があったり、ひげ根が生えているもの、皮の一部が黒く変色しているものは古く傷んでいることが多いので避けましょう。
糖度が高いと切り口にアメ色の蜜が染み出てくるので、両端の切り口を見て黒っぽい蜜のあとがあるものがおすすめです。
■さつまいもの保存方法
さつまいもは寒さに弱く、温度が低すぎるところで保存すると鮮度が落ちてしまいます。
冷蔵庫には入れず、新聞紙などに包んで常温で保存しましょう。
さつまいもの効果
■便秘を改善する効果
不溶性食物繊維のセルロースは腸を刺激して蠕動運動を活発にし、腸内に溜まった不要な老廃物や有害物質を吸着して体外へ排出する働きがあります。また、さつまいもの特有成分であるヤラピンの緩下作用が合わさり、便秘を改善し腸内環境を整える働きがあります。
■美肌効果
ビタミンCは、皮膚や細胞に含まれるコラーゲンの生成に欠かせないビタミンです。細胞の結びつきを強めることで、皮膚や肌のハリを保ちます。
シミの元であるメラニン色素の沈着を防ぐ働きから、シミの予防効果もあります。
■老化を予防する効果
さつまいもには、β-カロテンやアントシアニン、ビタミンC、ビタミンEなどの抗酸化作用をもつ成分が含まれています。
活性酸素によって細胞が酸化されるのを防ぐ働きから、細胞の老化を防ぎ、アンチエイジングの効果が期待できます。
こんな方におすすめ
●便秘が気になる人
●肌の調子が気になる人
●老化が気になる人
おさらい
●ゆっくり時間をかけて加熱すると、さらに甘味が増す
●食物繊維やヤラピンの働きにより、便秘の予防や改善に効果がある
●調理時のビタミンCの損失が少なく、美肌効果が期待できる
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