田芋は沖縄の特産で、水田で育つ里芋の一種です。子孫繁栄の縁起物として行事食に重宝されており、独特の香りと粘りが特徴です。金武町や宜野湾市が主産地です。カリウムによるむくみ予防、カルシウムによる骨や歯の強化、ビタミンCによる免疫力向上などの効果が期待されます。
田芋とは?
田芋は沖縄の特産で、きれいな水のある水田で栽培される里芋の一種です。「水芋」とも呼ばれ、沖縄では「ターンム」として親しまれています。親芋のまわりに子芋や孫芋が育つことから、子孫繁栄を象徴する縁起のよい食材とされ、お祝いの料理には欠かせません。
沖縄県産の田芋は独特の香りと強い粘りが特徴で、正月やお盆などの行事食としてよく使われます。収穫までに約一年かかるため、農家では収穫時期を見越して植え付けを行います。店頭では主に蒸した状態で販売されており、生のものはあまり出回りません。
全国的にも沖縄は有数の産地で、特に金武町や宜野湾市の大山が有名です。田芋を使った郷土料理には、田芋・ムジ(田芋の茎)・豚肉・椎茸・かまぼこを粗く切り、豚だしでじっくり煮て練り上げた「ドゥルワカシー」や、出産祝いの汁物「ムジの汁(ムジ・豚肉・豆腐のみそ汁)」などがあります。近年ではパイやスイーツへの活用も広がっています。
18世紀初頭の首里王府では、正月元日に田芋を供える習慣があり、儀礼食として重宝されていました。また、本島北部では「芋折り目」と呼ばれる儀礼も盛んで、芋が重要な儀礼食材であったことがうかがえます。
■ターンムディンガクの作り方
ターンムディンガクは田芋をきんとんのように甘く練り上げた料理で、「サーターダーンム」と呼ばれることもあります。
・材料(4人分)
田芋:300g
湯:1と1/2カップ
砂糖:1/3カップ
みりん:大さじ1
レモンの皮(またはみかんの皮):適量
・作り方
1.田芋は皮をむき2cm角に切って、静かに沸騰するくらいの火加減で5分くらいゆで、水気を切っておく。
2.鍋に1の田芋と分量の湯を入れて火にかけ、田芋が軟らかくなったら砂糖を加え、木じゃくしでかき混ぜながら煮込む。次第に角が取れ、液体がねっとりしてきんとん状になったらみりんを加え仕上げる。
3.器に盛り、上にレモンの皮のみじん切りを振りかける。
田芋の効果
■むくみを予防・改善する効果
ヒトの体は約60%が水分でできており、水分が細胞と血管の間を循環しています。ナトリウムの過剰摂取やカリウムの不足などにより、体内の水分バランスが崩れてしまうとむくみにつながることがあります。田芋に含まれるカリウムを摂ることで、体内の水分バランスが調整され、むくみの予防や改善が期待できます。
■丈夫な骨や歯をつくる効果
田芋に含まれるカルシウムは強い骨や歯をつくり、体を支える重要な働きがあります。
カルシウムとともにマグネシウムやリンも骨をつくる成分になります。カルシウムが2~3に対して、マグネシウムは1のバランスが良いとされています。リンも骨をつくる成分ですが、一緒に摂るとカルシウムの吸収を妨げます。リンは肉類や魚介類など多くの食品に含まれ、過剰摂取となりやすいため、カルシウムの摂取量を増やすことが重要です。
また、吸収したカルシウムを効率良く骨に利用させるためには、適度な運動を行い、骨に負荷を与えることも重要です。
■免疫力を高める
田芋に含まれるビタミンCは、身体の中に入ってくるウイルスを排除しようとする働きがある「白血球」を強化してくれます。それだけではなく、自らもウイルスを排除しようとする働きがあります。風邪が流行する時期には、ビタミンCを摂取することをおすすめします。
こんな方におすすめ
●むくみが気になる人
●骨や歯を強くしたい人
●免疫力を高めたい人
おさらい
●田芋は沖縄の特産で、水田で育つ里芋の一種
●子孫繁栄の縁起物として行事食に重宝され、独特の香りと粘りが特徴
●カリウムによるむくみ予防、カルシウムによる骨や歯の強化、ビタミンCによる免疫力向上などの効果が期待できる
・ターンムディンガク 沖縄県 うちの郷土料理(農林水産省)https://x.gd/OExw8
・日本食品標準成分表(八訂)増補2023年