ヨウ素は「ヨード」とも呼ばれ、約3分の2が喉にある甲状腺ホルモンの原料となるため、「甲状腺のミネラル」とも呼ばれています。甲状腺ホルモンは代謝を促進するホルモンであり、成長促進にも関与しています。ヨウ素の摂取が過剰または不足している場合、甲状腺の機能低下や甲状腺腫の発生リスクが高まる可能性があります。
ヨウ素とは?
ヨウ素は甲状腺ホルモンの原料となります。甲状腺は喉仏の下に位置し、蝶が羽を広げたような形をしています。甲状腺からは甲状腺ホルモンが分泌されます。甲状腺ホルモンには細胞の新陳代謝を活発にする働きがあり、ヨウ素はこの甲状腺ホルモンのチロキシンとトリヨードチロシンの生成に必要な材料となります。
正常に機能する甲状腺ホルモンは、交感神経の感受性を高め、タンパク質、脂質、糖質の代謝を活発化させます。また、胎児期から幼児期の子供の発達を促進する役割もあります。さらに、ヨウ素は呼吸の促進や心拍数の増加、皮膚や髪の健康維持など、様々な作用を持っています。
ヨウ素は海藻類や魚介類に多く含まれています。定期的にわかめ、昆布、タラなどを食事に取り入れることをおすすめします。また、「ヨード卵」には1個あたり約0.6mgのヨウ素が含まれています。海藻類を多く含んだ飼料で鶏を育てることで、鶏卵からもヨウ素を摂取することができます。
ヨウ素の不足や過剰摂取により、甲状腺肥大や甲状腺腫などが発生し、体力低下や倦怠感、貧血、脱毛などの症状が現れる場合があります。
推奨量は男性と女性(18歳以上)の場合、1日あたり130㎍とされています。
海産物を多く摂る日本人はヨウ素不足になることは稀です。また、過剰に摂取した場合でも、健康な人であれば排泄によって調節されることが一般的です。
ヨウ素の効果
■甲状腺ホルモンをつくる
甲状腺ホルモンをつくるチロキシンとトリヨードチロシンの構成成分です。心臓の拍動や血圧の調整、脳の発育などにも関わっています。
■基礎代謝を高める
脂質や糖質、タンパク質などのエネルギー代謝を促して、新陳代謝を活発にします。
ヨウ素が摂れる食べ物
きざみ昆布 230000㎍
ひじき(乾) 45000㎍
焼きのり 2100㎍
マダラ 350㎍
タイセイヨウサバ 69㎍
厚焼きたまご 540㎍
※可食部100gあたり
※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より
こんな方におすすめ
●妊娠中の人
●成長期の子ども
●ダイエット中の人
おさらい
●ヨウ素は、甲状腺ホルモンの原料になるため、「甲状腺のミネラル」とも呼ばれる
●胎児期から幼児期にかけての子どもの身体的、精神的な発達を促進する
●脂質や糖質、タンパク質などのエネルギー代謝を促して、新陳代謝を活発にする
・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)
・正しく知れば体が変わる!栄養素の摂り方便利帳(発行所 株式会社PHP研究所)
・NHK出版 健やかな毎日のための栄養大全(発行所 NHK出版)