セレンは不飽和脂肪酸が酸化されてできる過酸化脂質を分解する酵素の重要成分です。この抗酸化作用により、セレンは細胞の酸化を防ぎ、老化や動脈硬化の引き金となる病気を予防します。日本人の摂取量は適切で、欠乏症はほとんどなく、逆に過剰症が心配されています。セレンの1日の耐容上限量は成人男性で450㎍、成人女性で350㎍であり、過剰摂取による中毒症状には注意が必要です。普段の食事からは過剰摂取になることは少ないです。



セレンとは?

「セレン」はギリシャ語で「月」を意味する言葉で、燃えると月のような光を放つことからその名が付けられました。私たちの身体を構成する細胞膜などには不飽和脂肪酸が含まれていますが、不飽和脂肪酸は酸化されやすく、酸化によって生成される過酸化脂質は組織の老化や動脈硬化の引き金となる可能性があります。

セレンはこの過酸化脂質を分解するために働く酵素の重要な成分であり、抗酸化作用を持つため、細胞の酸化を防ぎます。具体的には、老化の進行を遅らせたり、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化による疾患を予防したり、がんを抑制したり、血行障害や更年期障害の症状を改善したりする効果があります。

日本人は魚介類や穀類から1日に約100μgのセレンを摂取しており、セレンの欠乏症はほとんど報告されていませんが、過剰摂取による中毒症状が心配されています。セレンは摂りすぎると中毒症状を引き起こすため、1日の耐容上限量は成人男性で450㎍、成人女性で350㎍とされています。中毒症状としては、吐き気、皮膚の荒れ、脱毛、胃腸障害などが挙げられます。急性中毒では重度の胃腸障害や呼吸器障害も起こることがあります。しかし、これらの症状は通常、薬剤などによる過剰摂取の場合にのみ現れるため、普段の食生活から過剰摂取になることはほとんどありません。

 

効率良く摂取するために

セレンは植物性食品と動物性食品の両方から摂取することができます。特に魚介類や動物の内臓、肉類には含有量が多いです。また、小麦胚芽や玄米、ねぎやにんにくなどにも多く含まれていますが、穀類や野菜の場合は、土壌のセレン濃度によって含有量が大きく変動します。

過酸化脂質の分解にセレンと同様に働く成分には、ビタミンEやビタミンCがあります。セレンはこれらの成分と一緒に摂取することで、より強力な効果を発揮します。

セレンの効果

抗酸化作用

強い抗酸化作用で細胞の酸化を防ぎます。血管の老化を防いで動脈硬化を抑制したり、免疫力を高めたりします。

 

発育促進

甲状腺ホルモンを活性化させる作用があり、運動能力の発達、身体の成長を促します。

 

ビタミンCの再生

ビタミンCを再生させる酵素の構成成分です。ビタミンCを再生し活性化します。

セレンが摂れる食べ物

うなぎの蒲焼き 42㎍

カツオ(秋獲り) 100㎍

クロマグロ(天然・赤身) 110㎍

たらこ 130㎍

パスタ類(乾) 63㎍

豚レバー 67㎍

鶏レバー 60㎍

※可食部100gあたり

※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より

こんな方におすすめ

老化が気になる人

成長期の子ども

更年期の人

おさらい

セレンは過酸化脂質を分解する酵素の成分であり、強い抗酸化作用で細胞の酸化を防ぐ働きがある

抗酸化作用により、動脈硬化の予防やがんの抑制、更年期障害の症状の改善に効果がある

セレンは、甲状腺ホルモンを活性化させる作用があり、運動能力の発達、身体の成長を促す


参考文献

・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)

・正しく知れば体が変わる!栄養素の摂り方便利帳(発行所 株式会社PHP研究所)

・NHK出版 健やかな毎日のための栄養大全(発行所 NHK出版)

・食品成分最新ガイド 栄養素の通になる第2版(発行所 女子栄養大学出版部)


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