リコピンはカロテノイドの一種で、鮮やかな赤色の色素成分です。トマトやスイカ、ピンクグレープフルーツなど、赤色の野菜や果物に豊富に含まれています。リコピンはビタミンAに変換されることはありませんが、強い抗酸化作用があります。活性酸素を除去する働きがあるため、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病の予防に役立ちます。また、スキンケアにも効果があります。
リコピンとは?
リコピンはトマトに多く含まれる赤い色素であり、体内でビタミンAに変換されない点が、同じく赤橙色色素で有名なβ-カロテンと異なります。長らく重要視されていませんでしたが、最近ではβ-カロテンの約2倍、ビタミンEの約100倍の抗酸化作用を持つことが判明し、注目を集めるようになりました。
ただし、トマトの熟成度によってリコピンの含有量は大きく異なります。完熟したトマトには1kgあたり50mgのリコピンが含まれますが、未熟な黄色いトマトには約5mgしか含まれていません。リコピンの効果を得るには、完熟したトマトまたはトマトの加工品を利用することがおすすめです。また、ミニトマトの方が大玉トマトよりも100gあたりのリコピンの含有量が多いことも知られています。
■食べ方のポイント
リコピンは脂溶性のため、油と一緒に摂ると吸収率が高まります。生のトマトを食べる場合は、オリーブオイルなどの油を含んだドレッシングをかけることでリコピンの吸収率を向上させることができます。
また、トマトを炒めるとトマトのかさが減少し、一度に多くの量を摂取することができるため、炒め物やトマトソース、スープなどに活用することもおすすめです。このような調理方法でもリコピンを効果的に摂取することができます。
リコピンの効果
■血管をしなやかにして血流改善
LDL(悪玉)コレステロールの酸化を抑える働きがあります。血中のLDL(悪玉)コレステロールが低下すると血管がしなやかになり、血流がよくなります。
■生活習慣病を予防
活性酸素を抑制する働きがあり、中性脂肪やLDL(悪玉)コレステロールの増加も抑えます。これにより、肥満や血圧上昇、高血糖などを予防し、生活習慣病の高血圧や糖尿病、動脈硬化などの発症を防ぎます。
■肌を健康に保つ
紫外線によって増加する活性酸素はメラニン色素の生成を促し、シミやくすみを増加させます。しかし、リコピンの抗酸化作用により、活性酸素の抑制が行われ、メラニン色素の生成も抑制されるため、肌の健康を保つ効果が期待されます。
リコピンが摂れる食べ物
ミニトマト、スイカ、ピンクグレープフルーツ、あんずなど
こんな方におすすめ
●血中コレステロールが気になる人
●生活習慣病が気になる人
●肌の調子が気になる人
おさらい
●β-カロテンの約2倍、ビタミンEの約100倍もの抗酸化作用をもつ
●活性酸素を除去する働きがあるので、動脈硬化や高血圧といった生活習慣病の予防に良い
●シミやくすみを増やすメラニン色素をリコピンの抗酸化作用が抑制する
・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)
・正しく知れば体が変わる!栄養素の摂り方便利帳(発行所 株式会社PHP研究所)
・NHK出版 健やかな毎日のための栄養大全(発行所 NHK出版)