亜鉛は体内にある200種類以上の酵素の働きに関わり、体をスムーズに動かすための潤滑油のような働きをするミネラルです。
細胞分裂を正常に行うことで新しい細胞をつくり、たんぱく質の合成や成長ホルモンの分泌にも欠かせない成分です。
亜鉛とは?
亜鉛は成人では体内に約2g含まれ、血液や皮膚に多く存在します。臓器では骨、筋肉、腎臓、肝臓、脳に多く、細胞外液より細胞内液に多く存在しています。
体内では200種類以上の酵素の構成成分となっており、多様な働きがあります。体内で新しい細胞をつくるためには、遺伝子の情報を伝達したり、たんぱく質を合成する必要がありますが、この作用を進めるのが亜鉛を成分とする酵素です。亜鉛は細胞の生成を行うため、皮膚の炎症や傷の回復時にも多く使われます。
また、各種ホルモンの分泌に関係し、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの合成にも亜鉛が欠かせません。
亜鉛が不足すると細胞の生成・たんぱく質の合成が滞り、小児では身長や体重などの発育が著しく遅れます。思春期では性的な発達が遅れ、成人男性では性機能不全が起こります。妊婦では胎児の成長不良を招くため、どの年代にも必要な成分です。
亜鉛の効果
■体の成長や新陳代謝を促す効果
亜鉛は細胞分裂の際の遺伝子情報の伝達や複製に関わることから、細胞分裂を正常に行い、新しい細胞の生成やたんぱく質の合成を促す効果があります。この働きにより、成長期は体の成長に、成人では皮膚や毛髪、爪などの細胞の新陳代謝の向上に役立ちます。
■味覚を正常に保つ効果
食べ物の味を感じとるのは、舌の表面などにある味蕾と呼ばれる部分です。亜鉛が不足すると味蕾を構成している細胞の新陳代謝が悪くなり、味覚障害が現れます。味蕾の細胞の数は老化によって減少するともいわれているので、亜鉛が不足しないように気をつけましょう。
亜鉛が摂れる食べ物
魚介類、肉類など
カキ 14.0mg
タラバガニ(水煮缶詰) 6.3mg
イイダコ 3.1mg
豚レバー 6.9mg
牛肩ロース(赤身) 6.4mg
牛ひき肉 5.2mg
いりごま 5.9mg
味付けのり 3.7mg
焼きのり 3.6mg
鶏卵(卵黄) 3.6mg
油揚げ 2.5mg
※可食部100gあたり
※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より
こんな方におすすめ!
●成長期の子ども
●妊娠中の人
●活力をつけたい人
おさらい
●細胞分裂に関わり、体の成長や新陳代謝の向上に欠かせない成分
●正常な味覚を維持する働きがある
●血糖値を下げるホルモンであるインスリンの合成にも使われる
・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)
・栄養素の通になる 第5版(発行所 女子栄養大学出版部)
・かしこく摂って健康になる くらしに役立つ栄養学(発行所 株式会社ナツメ社)
・日本食品標準成分表2020年版(八訂)