ギリシャ語の「パントテン酸」とは、広くどこにでも存在するという意味です。その名の通り、さまざまな食品に含まれています。パントテン酸は、体内に広く存在する補酵素のコエンザイムAを構成する成分として働き、三大栄養素のエネルギー代謝に深く関わっています。また、コラーゲンの生成に必要なビタミンCの働きを助けるため、肌の健康にも関与します。さらに、ホルモンや免疫抗体の合成に関わるほか、HDL(善玉)コレステロールを増やす働きも知られています。
パントテン酸とは?
私たちの身体は、ストレスが起きると副腎皮質ホルモンが分泌され、ストレスに対応します。このとき、副腎の働きを支え、副腎皮質ホルモンの産出を促進するのがパントテン酸です。つまり、ストレスの多い現代人にとって、欠かせない栄養素です。疲れやすい、怒りっぽい、昼間から眠たい、風邪をひきやすいなどの症状を自覚する人は、多めに摂取するべきビタミンです。
また、パントテン酸はビタミンB群の一種で、脂質、糖質、タンパク質などをエネルギーに変換するために不可欠なビタミンです。パントテン酸は補酵素のコエンザイムAの生成に関与しており、コエンザイムAは体内で非常に多くの反応の補酵素として働くことから、パントテン酸は重要な栄養素の一つです。
パントテン酸の名前は「広くどこにでも存在する」という意味のギリシャ語に由来し、その名の通り、あらゆる自然の食物に含まれています。また、腸内細菌によっても合成されます。そのため、極端に栄養状態が悪化しない限り、欠乏症は起こりにくいです。
ただし、普段からアルコールやコーヒーを大量に摂取する人は、パントテン酸を消費しやすくなります。また、抗生物質を頻繁に使用している人は、腸内細菌からのパントテン酸供給が制限されます。そのような人は、食物からしっかりと摂取するようにしましょう。過剰摂取のリスクも低いです。
■食べ方のポイント
パントテン酸は水に溶けやすく、熱に弱いという特徴があります。茹でるなどの調理によって損失しやすい栄養素です。そのため、茹で汁も食べられるように、野菜スープなどでパントテン酸を摂取する必要があります。鶏肉やしいたけを使った出汁を摂ると、効率よくパントテン酸を摂ることができます。
パントテン酸の効果
■ストレスの緩和
副腎の働きを助けて、ストレスに対抗する副腎皮質ホルモンの合成を促進します。また、ストレスを緩和する作用もあります。
■エネルギーの代謝を助ける
体内でコエンザイムAという補酵素に変化して、ビタミンB1とともに糖質の代謝を、ビタミンB2とともに脂質の代謝を助けています。
■皮膚や毛髪の健康を保つ
コラーゲンの生成に必要なビタミンCを助けて、皮膚や毛髪の健康を維持します。
パントテン酸が摂れる食べ物
鶏レバー 10.00mg
豚レバー 7.19mg
牛レバー 6.40mg
たらこ 3.68mg
シロサケ 1.27mg
マイワシ 1.14mg
ピーナッツ(大粒種・いり) 2.20mg
糸引き納豆 3.60mg
卵黄 3.60mg
※可食部100gあたり
※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より
こんな方におすすめ
●ストレスが気になる人
●コーヒーやアルコールを飲む人
●肌の調子が気になる人
おさらい
●ストレスの多い現代人には、欠かすことのできない栄養素
●アルコールやコーヒーをたくさん摂る人は、パントテン酸が消費しやすくなる
●コラーゲンの生成に必要なビタミンCの働きを助けるため、肌を健康を保つ
・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)
・正しく知れば体が変わる!栄養素の摂り方便利帳(発行所 株式会社PHP研究所)
・NHK出版 健やかな毎日のための栄養大全(発行所 NHK出版)