寒締めほうれん草は、収穫前に低温にさらして育てられるほうれん草で、寒さに耐えるため糖分や栄養素が蓄えられ、甘みが強くなるのが特徴です。約5℃を下回ると成長を止め、糖度やビタミンC・ビタミンE・β-カロテンの濃度の上昇が起こります。見た目は縮れて「ちぢみほうれん草」とも呼ばれます。虫の被害が少なく、農薬を使わずに育てやすい利点もあります。また、ビタミンAが免疫力維持に役立ち、ビタミンCは抗酸化作用により老化防止に寄与します。さらにカリウムが過剰なナトリウムの排出を促すため、高血圧予防にも効果があります。



寒締めほうれん草とは?

寒締めほうれん草の収穫は12月半ば頃から始まり、寒さが増すほど甘みが強まり、トマトと同等の糖度になることもあります。

「寒締め」とは、収穫前にほうれん草を低温にさらす処理のことです。収穫できる大きさに育ったら、ハウスの両袖や出入り口を開放し、冷たい外気が通るようにした状態で、そのまま昼夜放置します。ほうれん草は約5℃を下回ると成長を止め、低温ストレスによって糖度やビタミンC、ビタミンE、β-カロテンの濃度の上昇が起こります。寒さに耐えるため、タンポポのように横に広がった姿になり、一見ほうれん草には見えません。この形状から「ちぢみほうれん草」とも呼ばれます。

また、虫の被害が少ないため、農薬に頼らず育てやすいという利点もあります。

 

調理との組み合わせ方

寒さにあたることで水分を減らし糖分を蓄えるため、甘みが増し、葉は縮れて厚みが増します。火の通りが早く、熱湯で10秒ほど茹でれば十分です。炒め物やスープの場合は茹でずに手でちぎって使っても構いません。ただし、葉の凹凸や茎の間に土が入りやすいので、ボウルに水を張ってよく洗いましょう。

 

選び方

葉先がピンとして色鮮やかで、根元がみずみずしいもの。

 

保存方法

根つきのまま保存する場合は湿らせた新聞紙に包み、ポリ袋に入れて野菜室で立てて保存します。ほうれん草と同様、軽く茹でて水気をしっかり切り、冷凍保存することもできます。

寒締めほうれん草の効果

免疫力の向上

寒締めほうれん草にも含まれるビタミンAの不足は、気管などの粘膜において細菌やウイルスの侵入を容易にし、風邪の原因となる可能性があります。風邪を引きやすい人、回復が遅い人、口内炎や歯ぐきの腫れが起こりやすい人は、ビタミンA不足が考えられます。

 

老化を防ぐ

寒締めほうれん草に含まれるビタミンCには、抗酸化作用が強く体内の酸化を抑制する働きがあります。

 

高血圧を予防する効果

ナトリウムは体にとって必要なミネラルですが、摂り過ぎると高血圧の原因になります。

寒締めほうれん草に含まれるカリウムは、過剰なナトリウムを尿として排出する働きを促すため、高血圧の予防に効果があります。

こんな方におすすめ

免疫力を高めたい人

老化が気になる人

高血圧が気になる人

おさらい

寒締めほうれん草は、収穫前に低温にさらして育て、寒さに耐えるため糖分や栄養素が蓄えられ、甘みが強くなるのが特徴

ビタミンAが免疫力維持に役立ち、ビタミンCは抗酸化作用により老化防止に寄与する

カリウムが過剰なナトリウムの排出を促すため、高血圧予防にも効果がある


参考文献

・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)

・春夏秋冬 おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典(発行所 株式会社エクスナレッジ)


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