なすは鮮やかな濃い紫色と独特な形が特徴の野菜です。

熱のこもった体を冷やしてくれる働きがあることから、夏バテの予防におすすめです。ポリフェノールのナスニンによる抗酸化作用で、生活習慣病の予防効果も期待できます。



なすとは?

なすはインドが原産で、日本へは奈良時代に中国を通じて伝えられました。

昔から縁起の良い野菜として親しまれ、「一富士、二鷹、三茄子」と初夢に見ると縁起が良いとされることわざにも出てきます。このことわざには、駿河国の名物を順に挙げたとする説や、駿河国で高いものを順に挙げたとする説など、諸説あるとされています。

また、なすは漢方では体を冷やす野菜とされ、「秋茄子は嫁に食わすな」ということわざも、体を冷やさないよう嫁の体を気遣っているという説があります。

 

なすは鮮やかな濃い紫色と独特な形が特徴で、旬は6~9月になります。形には小丸なすや丸なす、中長なす、長なす、米なすなど、様々な種類があり、料理に合わせて使い分けがされています。

 

なすの選び方

持った時にずっしりと重く、皮の紫色にムラがなく、張りとツヤがあるもの。ヘタ部分にある棘がしっかりと立っているもの、触ると痛いくらいのものが新鮮です。表面に傷やシワがあるものや茶色く変色しているものは避けましょう。

 

なすの保存方法

冷気に当たると、しぼんだり種のまわりが茶色く変色したりしやすくなるので注意しましょう。水分が蒸発しやすいので、ポリ袋に入れるか新聞紙などに包んで、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。2~3日で使い切る場合は常温で日の当たらない涼しい場所で保管しても大丈夫です。

なすの効果

夏バテを予防する効果

なすにはカリウムが豊富に含まれます。カリウムには体の熱を逃がしてくれる働きがあるため、夏バテの予防に効果的です。

夏場の室内は冷房が効いていることもあり、体が必要以上に冷えてしまうため、なすは体を温める食材と一緒に食べるのがおすすめです。体を温める食材には生姜や長ねぎなどがあるので、細かく刻んで料理に加えたり、一緒に炒めるなど、工夫して食べてみましょう。

 

生活習慣病を予防する効果

なすの鮮やかな紫色の皮は、アントシアニン系色素のナスニンによるものです。ナスニンは強い抗酸化作用があるポリフェノールの一種で、コレステロールの酸化を防ぎ、血栓を防止することから高血圧症や動脈硬化などの予防が期待できます。

なすの渋み(アク成分)はクロロゲン酸で、こちらもポリフェノールの一種です。抗酸化作用によって、生活習慣病の予防や老化の抑制などに役立ちます。

ナスニンは皮の部分に含まれるため、栄養を逃さないように皮はむかずにそのまま調理しましょう。

ポリフェノールは水に溶けやすい性質を持つため、調理する時は直前に切って、水につける時間(アク抜き)が長くならないように気を付けましょう。

なすは油との相性が良く、油の吸収率が高い食材です。油を使うことで色良く仕上がったり、コクが出たり、トロっとした食感になり美味ですが、油を使う料理ばかりではなく、じっくり焼いた田楽や蒸しなすなどのレシピもおすすめです。

 

むくみの予防・改善効果

ナトリウムの過剰摂取やカリウムの不足などにより、体内の水分バランスが崩れてしまうとむくみにつながることがあります。カリウムを摂ることで、体内の水分バランスが調整され、むくみの予防や改善に働きます。

こんな方におすすめ

夏バテを改善したい人

血圧やコレステロール値が気になる人

むくみが気になる人

おさらい

なすには熱のこもった体を冷やしてくれる働きがあることから、夏バテの予防におすすめ

なすにはポリフェノールのナスニンやクロロゲン酸が含まれ、抗酸化作用がある

なすに含まれるポリフェノールは水に溶けやすい性質があるため、アク抜きは短時間にする


参考文献

・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)

・かしこく摂って健康になる くらしに役立つ栄養学(発行所 株式会社ナツメ社)

・春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜と魚の栄養事典(発行所 株式会社エクスナレッジ)

・子どものための農業教室(農林水産省)

・独立行政法人農畜産業振興機構


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