京せりは、京都のすき焼きや冬の野菜として不可欠な存在で、古くから栽培されてきました。平安京以前から水田で栽培され、春の七草の第一に挙げられ、薬草としても重要視されています。みずみずしく風味豊かで、茎は風味があり柔らかく、香り高い葉は様々な料理に使用されます。ビタミンやミネラルが豊富で、食欲を増進させる効果もあります。
京せりとは?
京せりは、京都のすき焼きの具材として欠かせない冬の野菜です。せりの起源は古く、平安京以前から水田で栽培されていたとの記録があります。春の七草の中でも第一に挙げられ、当時から薬草として、膳に欠かせないと重宝されていました。桃山時代には、現在の二条城前の南側で栽培されており、それが次第に七条を中心にして南に広がっていったようです。
せりは、葉のとがった柳葉と丸みを帯びた丸葉に分けられ、品種としては京せりのほかに、青せり、お多福せり、山科せりなどがあります。「せり」の名前は、新しい苗がたくさん出る様子が、「競り(せり)」に見えることからついたと言われています。京都の清らかな湧き水の中で育ち、みずみずしく風味豊かです。
茎は風味があり柔らかく、香り高い葉は、鍋やお吸い物、おひたし、和え物などに使用されます。少しアクがあるので、おひたしにする際は、他の野菜と混ぜるとよりおいしく食べられます。シャキシャキとした独特の食感と個性的な香りで料理を引き立てる、重要な存在です。
他の青菜と同様に、京せりにもビタミンが豊富に含まれています。香りを放つ精油と体を温める作用により、食欲を増進させる効果があり、また、ミネラルも豊富です。
■京せりの選び方
緑の葉と赤みを帯びた茎をもつもの。真っ白な根とのコントラストが綺麗なもの。
■調理方法
京せりはアクのある野菜で、煮すぎると味が損なわれます。鍋などに入れるときは、さっと火が通ったくらいでいただきましょう。熱湯を通すくらいに茹でると、食感と香りが楽しめます。
■京せりの天ぷら
細かく切り、海老やにんじんなど他の材料に混ぜ、衣をつけてかき揚げに。
■京せりと豚肉の炒め物
3cmに切って、さっと熱湯に通してアク抜きし、下味をつけた豚肉と炒める。
■京せりとごぼうのきんぴら
さっと茹で、ささがきにしたごぼうを炒め、醤油、砂糖、酒、塩で調味する。
京せりの効果
■目のビタミンに
京せりに含まれるビタミンAは、目の網膜に光を感じる物質であるロドプシンを生成するのに必要です。ビタミンAが不足すると網膜のロドプシンが減少し、暗い場所では物が見えづらくなる夜盲症になる可能性があります。
■皮膚、毛髪、爪をつくる
京せりに含まれるビタミンB2は、たんぱく質の合成に関与し、細胞の再生や新しい細胞をつくるのを助けます。成長を促したり、皮膚や髪、爪、粘膜などを再生させます。
■老化を防ぐ
京せりに含まれるビタミンCは、抗酸化作用が強く体内の酸化を抑制する働きがあります。
こんな方におすすめ
●目の調子が気になる人
●成長期の子ども
●老化が気になる人
おさらい
●せりの名前は、新しい苗がたくさん出る様子が、「競り(せり)」に見えることからついたと言われている
●茎は風味があり柔らかく、香り高い葉は、鍋やお吸い物、おひたし、和え物などに使用される
●食欲を増進させる効果があり、ビタミンやミネラルも豊富
・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)
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