つわぶきはキク科の多年草で、フキに似ていますが別属の植物です。葉と茎を食用とし、アクが強く独特の香りがあります。日本原産で福島県・石川県以南に自生し、特に九州地方で古くから食べられてきました。宮崎県や鹿児島県などで栽培され、佃煮や油炒めなどの郷土料理に使われます。葉には強い殺菌作用があり、民間療法にも利用されてきました。栄養面ではカリウムと食物繊維を多く含み、高血圧予防や腸内環境改善に効果が期待できます。
つわぶきとは?
つわぶきはキク科の多年草で、フキとよく似た円形の葉と長い茎を持っていますが、全く別属の植物です。葉の表面に艶やかな光沢があり、「艶のあるフキ(のような植物)」が転じて「つわぶき」という名前になったとする説もあります。フキと同様に、葉と50cmほどの柄の部分を食用にします。アクが強く、独特の香りがある点も共通しています。栄養面ではカリウムと食物繊維を多く含んでいます。
つわぶきは日本原産で、本州の福島県・石川県以南に自生しています。主に九州地方などの一部地域で古くから食用とされてきました。現在、山菜として出荷されているものは宮崎県、大分県佐伯市、鹿児島県などで栽培されているものですが、県南部の沿岸地帯では温暖な気候のため、海岸線に沿って自生するものも見られます。日南地方では、つわぶきは毒消しの作用があると伝えられ、大正時代には北九州の炭鉱夫が食べるために盛んに出荷されていました。佃煮や和え物などさまざまな料理に使われ、「つわぶきの油炒め」は日南地方でよく作られる庶民的な料理の一つです。
つわぶきは常緑性で一年中青々としており、フキより葉が厚く、表面に艶があり、緑色が濃いのが特徴です。また、茎や葉には綿毛がたくさん付いています。フキのようにフキノトウはできず、秋から晩秋にかけて花茎を伸ばし、黄色い花を咲かせます。
さらに、つわぶきの葉にはヘキサナールという成分が含まれており、この成分は非常に強い殺菌作用を持つことで知られています。そのため、昔から肉や魚が原因となる食あたりの対処として、つわぶきの葉の絞り汁を服用したり、打撲や切り傷の外用薬として塗ったりするなど、民間療法で多用されてきました。
■調理との組み合わせ
栄養素を摂取するというより、風味を楽しむ野菜ともいえます。煮物やおひたし、佃煮、和え物、天ぷらなど、シンプルな調理法で特有の香りと歯ざわりを楽しみましょう。独特のえぐみがあるため、調理前にアク抜きが必要です。
アク抜きの方法は、まず茎と葉の部分を塩少々で板ずりし、灰または重曹をまんべんなくふりかけた後、熱湯をかけてしばらく置きます。アクが十分に抜けたら水を替え、色が出なくなるまで水にさらしてから皮を剥き、調理すると良いでしょう。
■選び方
葉と茎に張りがあり、黄変や黒ずみのないものを選びましょう。スーパーでは、茎の部分だけが束ねられた状態で販売されていることが多いです。
■保存方法
生のままでは萎れやすいため、アク抜きまでを済ませ、適量の水と一緒に容器に入れて冷蔵庫で保存すると良いでしょう。
つわぶきの効果
■高血圧を予防する効果
ナトリウムは体にとって必要なミネラルですが、摂り過ぎると高血圧の原因になります。
つわぶきに含まれるカリウムは、過剰なナトリウムを尿として排出する働きを促すため、高血圧の予防に効果があります。
■体内の水分量を調整
つわぶきにはナトリウムが含まれています。
細胞が活動するためには、細胞の内外に水分が必要です。細胞外液にはナトリウムが、細胞内液にはカリウムが含まれており、これらが濃度を調整して水分量のバランスを保ちます。体内の水分量を常に適切に調整する働きをしています。
■腸内環境を整える効果
つわぶきに含まれる食物繊維は、腸内に溜まった不要な老廃物や有害物質を吸着し、体外へ排出する働きがあります。また、腸内の善玉菌であるビフィズス菌や乳酸菌を増やす働きもあるため、腸内細菌のバランスが良くなり、腸内環境の改善に役立ちます。
腸内環境が整うことで、便秘の予防や改善にも効果が期待できます。
こんな方におすすめ
●高血圧が気になる人
●汗っかきな方
●便秘で悩んでいる人
おさらい
●つわぶきはキク科の多年草で、フキに似ていますが別属の植物
●葉と茎を食用とし、アクが強く独特の香りがあり、佃煮や油炒めなどの郷土料理に使われる
●栄養面ではカリウムと食物繊維を多く含み、高血圧予防や腸内環境改善に効果が期待できる
・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)
・春夏秋冬 おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典(発行所 株式会社エクスナレッジ)
・つわぶきの油炒め 宮崎県 うちの郷土料理(農林水産省)