エビは種類が豊富で、タンパク質が多く、脂質は少ない食材です。エビに含まれるタウリンやキチンは、コレステロールの排出を促進します。また、アスタキサンチンという抗酸化成分もあります。これらの成分はエビの健康効果に寄与し、生活習慣病やがんの予防に役立つことがわかっています。エビはダイエット向きの食材であり、栄養価も高いため、幅広い料理に活用されています。
エビとは?
日本はエビの大量消費国であり、国内生産では需要を満たせず、世界各国からの輸入に頼っています。世界には約3000種類のエビが存在し、日本国内でも約700種類あります。主な食用エビとしては、伊勢エビ、車エビ、ブラックタイガー、ボタンエビ、大正エビ、芝エビ、甘エビなどがあります。栄養価は種類によって多少異なりますが、共通しているのはタンパク質が豊富で脂質が少ないことです(100gあたりタンパク質20g前後、脂質0.4g前後)。
エビにはカリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれており、ビタミンEも多く含まれています。特に甘エビと伊勢エビにはビタミンEが豊富であり、100gあたりの含有量は甘エビが3.4mg、伊勢エビが3.8mgです。
エビは高タンパク・低脂肪、低エネルギーですから、ダイエット向きの食品です。しかし、コレステロール値が高いことから、冷遇されていた時期がありました。確かにエビのコレステロールは牛ロースの約2倍、豚ヒレの約3倍と、けっして低いとはいえません。
ところが、その後の研究により、エビにはLDL(悪玉)コレステロールを強力に取り除くさまざまな成分が含まれていることがわかりました。これにより、エビは動脈硬化をはじめとする生活習慣病やがんの予防に大きな力を発揮することが明らかになりました。
まずタウリンには、胆汁酸の分泌を促す作用があります。胆汁酸はコレステロールを分解して排出させるとともに、コレステロールが血液中に吸収されるのを阻止します。さらに、エビには動物性の食物繊維であるキチンが多く含まれています。これはエビやカニの甲羅に含まれており、腸の働きを活発にし、コレステロールの排出を早めます。
また、エビにはアスタキサンチンという成分が含まれていることもわかりました。これはエビやカニ、サケなどの魚介類、イクラやすじこなどの魚卵に多く含まれているカロテノイド系の赤色の色素です。
この色素には強い抗酸化作用があります。活性酸素を抑制し、LDL(悪玉)コレステロールが血管にこびりつくのを防ぎ、既に付着してしまったものは取り除きます。また、目の網膜に作用し、視力低下を防ぐ効果もあります。
■選び方
透明感のあるもの、殻にぬめりが多いもの。むきえびは形や大きさが揃っていて太っているもの。
■保存方法
皮は剥かず、密閉容器に入れて冷凍する。
エビの効果
■LDL(悪玉)コレステロールを減らす
エビに含まれるタウリンやキチンが生活習慣病の予防に働きます。タウリンは胆汁酸の分泌を促し、コレステロールの分解と排出を促進します。また、キチンは腸の働きを活発にし、コレステロールの排出を促進します。
■眼精疲労の改善
アスタキサンチンは、他の物質が通過できない「血液網膜関門」を通って網膜に到達し、抗酸化作用を発揮します。そのため、眼精疲労の改善に効果があります。
こんな方におすすめ
●コレステロール値が気になる人
●生活習慣病が気になる人
●目の調子が気になる人
おさらい
●エビは高タンパク・低脂肪、低エネルギー
●エビに含まれるタウリンやキチンがコレステロールの分解や排出を促進する
●エビに含まれるアスタキサンチンは、眼精疲労の改善に効果がある
・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)
・実用版オールカラー 食品図鑑(発行所 女子栄養大学出版部)