十六ささげはアフリカ原産の野菜で、日本では主に愛知県の愛西市や稲沢市などで栽培され、岐阜県や沖縄県でも生産されています。若いさやと未熟な豆を食べ、縁起の良い食材として武士にも好まれました。栽培は2月に種まきを行い、夏に30〜50cmのさやを収穫します。流通量が少なく、主に地元で消費されます。火が通りやすく、淡白でさっぱりした味わいが特徴です。β-カロテンやビタミンC、葉酸、食物繊維を含み、抗酸化作用や貧血予防、腸内環境の改善に効果が期待されます。調理方法はサラダ、炒め物、天ぷらなど多様で、保存は固めに茹でて冷蔵が適しています。



十六ささげとは?

十六ささげの原産国はアフリカですが、日本で野菜として食べられるのは、「十六ささげ」と呼ばれる細長いさやの菜豆が中心です。名前のとおり16〜18粒程度の実を持ち、さやえんどうやさやいんげんと同様に、若いさやと未熟な豆を一緒に食べます。

愛知県では主に愛西市や稲沢市などの尾張西部で栽培されており、ほかには岐阜県や沖縄県などでも生産されています。中部地方での生産は、大正時代ごろから始まったといわれています。愛西市ではれんこんの栽培も盛んですが、れんこんの収穫時期と十六ささげの収穫時期がずれるため、1年を通して作物を育てられることが、この地域に十六ささげの栽培が根づいた理由ではないかと考えられています。また、小豆などの豆は火を通すと皮が割れて切腹のように見えるといわれますが、火を通しても割れない十六ささげの豆は、武士の縁起担ぎとしても好まれていたようです。

2月に種まきを行い、5月中旬ごろにはつるを這わせるための支柱や網を準備します。夏になり、さやの長さが30~50cm程度になったら収穫を行います。さやいんげんと似ていますが、さやの長さが非常に長いため、収穫は手作業で1本1本摘み取る必要があります。

手間のかかる十六ささげは希少で、地元で消費されることが多く、県外にはあまり流通しない地産地消の野菜です。さやいんげんよりも火が通りやすく、食感は柔らかく、淡白でさっぱりとした味わいが特徴です。

β-カロテンには優れた抗酸化作用があり、がんや老化を防ぐ役割を果たすほか、体内に吸収されるとビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を健全に保つ働きもあります。「金時ささげ」や「小豆ささげ」などは乾燥させたものを水で戻し、小豆と同じように使用します。乾燥したささげは、生のささげに比べ、タンパク質や糖質、カリウムやマグネシウムなどのミネラルを多く含むのが特徴です。

 

調理との組み合わせ方
茹でた豆をサラダにしたり、他の豆類と同様の調理方法で楽しめます。シンプルに塩・こしょう・バターで味付けするだけでも、肉料理や魚料理の付け合わせとして活躍します。

また、ごま和えやお浸し、油炒め、煮物、天ぷらなどにも利用されます。

 

選び方
表面に張りがあり、実が育ち過ぎていないものを選びましょう。

 

保存方法
使いきれなかった分は、鮮度が落ちないうちに固めに茹で、保存袋に入れて冷蔵庫で保存すれば、2〜3ヶ月おいしく食べられます。

十六ささげの効果

老化を防ぐ

十六ささげに含まれるビタミンCは、抗酸化作用が強く体内の酸化を抑制する働きがあります。

 

貧血を予防する効果

赤血球は約4か月で生まれ変わるため、体内では常に新しい赤血球がつくられています。十六ささげに含まれる葉酸は赤血球のもととなる赤芽球をつくることに関与しており、赤芽球が正常につくられないと赤血球も正常につくられません。葉酸を摂取することは、正常な赤血球をつくることに役立ち、貧血の予防にもなります。

 

腸内環境を整える効果

十六ささげに含まれる食物繊維は、腸内に溜まった不要な老廃物や有害物質を吸着し、体外へ排出する働きがあります。また、腸内の善玉菌であるビフィズス菌や乳酸菌を増やす働きもあるため、腸内細菌のバランスが良くなり、腸内環境の改善に役立ちます。

腸内環境が整うことで、便秘の予防や改善にも効果が期待できます。

こんな方におすすめ

老化が気になる人

貧血が気になる人

腸内環境を整えたい人

おさらい

十六ささげはアフリカ原産の野菜だが、愛知県、岐阜県、沖縄県でも生産されている

さやいんげんよりも火が通りやすく、食感は柔らかく、淡白でさっぱりとした味わい

β-カロテンやビタミンC、葉酸、食物繊維を含み、抗酸化作用や貧血予防、腸内環境の改善に効果が期待できる


参考文献

・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)

・春夏秋冬 おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典(発行所 株式会社エクスナレッジ)

・十六ささげのごま味噌和え 愛知県 うちの郷土料理(農林水産省)


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