熱中症はなぜ起きる?頭痛との関係とは?
■熱中症とは?
熱中症は、高温多湿な環境に長くいることで、徐々に体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。
初期症状は、めまいや立ち眩み、生あくび、筋肉のこむら返り、筋肉痛、大量の発汗などとされ、症状が進むと頭痛、嘔吐、倦怠感、判断力の低下、集中力の低下、虚脱感が起こり、重症になると意識障害に至ります。
■熱中症と頭痛の関係
熱中症の症状として現れる頭痛は、中等度の症状になるため、放っておくと危険な状態です。
熱中症による頭痛は、体を冷やして体温を下げたり、こまめに水分補給をして脱水症状を軽くすることが重要です。
■熱中症に特に注意が必要な人
熱中症患者のおよそ半数は65歳以上の高齢者です。高齢者は暑さや水分不足に対する感覚機能が低下しており、暑さに対する体の調節機能も低下しているので注意が必要です。
また、子どもは体温の調節能力がまだ十分に発達していないので気を配る必要があります。
熱中症の対策には、食べ物、環境、行動が大事
誰にでも熱中症は起こる可能性があるため、適切な対策を知り防ぐことが重要です。
熱中症になりやすい習慣を簡単チェック
当てはまる方は対策法も確認しましょう!
熱中症対策におすすめの食べ物
喉が渇く前のこまめな水分補給と合わせて、食事ではスープやおみそ汁などの汁物をプラスしてみましょう。汁物にカリウムを含む野菜やいも類、海藻類などを加えることで、不足しがちな水分と栄養素を一緒に摂ることができます。
疲れている時は疲労回復のために、肉・魚・卵・大豆製品などのたんぱく質がおすすめです。特にたんぱく質や糖質の代謝に関係するビタミンB1やビタミンB2を含む食材と合わせて摂ると効果的です。ビタミンB1は玄米や豚肉に、ビタミンB2は卵や納豆に多く含まれます。
代謝を促し疲労を回復するクエン酸は、梅干しや酢、レモンなどに含まれます。
他にも抗酸化作用で免疫力を高めてくれる、β-カロテンやビタミンC、ビタミンEなども摂りましょう。β-カロテンはにんじんやかぼちゃに、ビタミンCはキウイフルーツやブロッコリーに、ビタミンEはナッツ類や植物油などに多く含まれます。
熱中症を防ぐ環境や行動
熱中症を防ぐためには、それぞれの場所に応じた対策を取ることが重要です。
暑さの感じ方は人によって異なります。その日の体調や暑さに対する慣れなどが影響するので、体調の変化に気をつけましょう。
暑さを避けて、身を守るポイント
■室内の場合
・扇風機やエアコンで温度を調節する
・遮光カーテンやすだれを利用する
・室温をこまめに確認する
■屋外の場合
・日傘や帽子を着用する
・日陰を利用し、こまめに休憩をとる
・天気のよい日は、日中の外出をできるだけ控える
■体の蓄熱を避ける工夫
・通気性のよい、吸湿性や速乾性のある衣服を着用する
・保冷剤や氷、冷たいタオルなどで、体を冷やす
水を飲むのは健康のためにも
人間の体の約60%は水分です。
喉の渇きは脱水が始まっている証拠であり、渇きを感じてから水を飲むのではなく、渇きを感じる前に水分を摂ることが大切です。
水分が不足しやすい、就寝の前後、スポーツの前後・途中、入浴の前後、飲酒中あるいはその後などに水分を摂ることが重要とされており、枕元に水分をおいて就寝することも重要です。
水分の摂取量は多くの方が不足気味であり、平均的にはコップの水をあと2杯飲めば、1日に必要な水の量を概ね確保できるとされています。目安としては、1日あたり1.2Lは飲むように心がけましょう。
また、大量の発汗がある場合は、水だけではなく塩分も一緒にとりましょう。
水分補給の飲み物の砂糖や塩分などの濃度が高いと、吸収までの時間が長くなるので注意しましょう。アルコールや多量のカフェインを含む飲料は、尿の量を増やし体内の水分を排せつしてしまうので、水分補給としては適していません。
おさらい
●熱中症は、高温多湿な環境に長くいることで、徐々に体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指す
●熱中症の症状として現れる頭痛は、中等度の症状になるため、放っておくと危険
●喉が渇く前のこまめな水分補給で脱水を防ぎ、それぞれの場所に応じた対処法で熱中症を防ぐことが重要
【佐藤 順子 先生】
横浜国立大学教育学部卒業
小学校教諭を経て健康生活新聞編集に携わる
福祉住環境コーディネーター
・熱中症予防のための情報・資料サイト(厚生労働省)
・熱中症ゼロへ(一般財団法人日本気象協会)
・日本初の頭痛専門クリニックが教える 最新頭痛の治し方大全(発行所 株式会社扶桑社)