にんにくの独特な香りのもとはアリシンと呼ばれ、強力な抗菌・殺菌作用を持っています。生のにんにくを刻んだりすると、アリインが分解されてアリシンに変化し生成されます。アリシンは、豚肉などに多く含まれるビタミンB1の吸収を促進し、疲労回復の効果が期待されます。また、アリシンは膵臓の機能を強化し、インスリンの分泌を促進するため、糖尿病の予防にも有効です。野菜では、長ねぎ、たまねぎ、ニラなどに多く含まれます。



アリシンとは?

にんにく特有の強い匂いの元であるアリシンは、強力な殺菌作用を持ち、ウイルスや細菌から身体を守る役割を果たします。また、アリシンはナチュラルキラー細胞を活性化させ、免疫力を強化してがん細胞を撃退する効果もあります。アリシンの分解過程で生成される含硫アミノ酸は、体内の有害金属や発がん物質を排出する働きもあります。さらに、アリシンは抗血栓作用も持ち、動脈硬化や心臓病の予防にも効果的です。

また、アリシンはビタミンB1と結合してアリチアミンと呼ばれる物質となり、体内に長く留まって疲労回復を助けます。さらに、膵臓の機能を強化し、インスリンの分泌を促進するため、糖尿病の予防にも役立つとされています。

 

食べ方のポイント

にんにくは調理過程で切ったりすりおろしたりすることで、アリインが分解され、アリシンが生成されます。

ただし、にんにくを生のまま大量に摂取すると、抗菌・殺菌作用が強すぎて、悪玉菌だけでなく善玉菌も減少する可能性があります。適量としては、1日に1片程度が推奨されています。

アリシンの効果

感染症の予防

強い抗菌・殺菌によりウイルスや細菌から身体を守り、風邪などの感染症を予防する働きがあります。

 

疲労回復

糖代謝を促進するビタミンB1と結合して、身体のエネルギー産生に関与する働きがあります。また、体外に排出されやすいビタミンB1を体内に留まらせ、疲労回復の効果を持続させることができます。

 

血糖値の上昇を抑える

ビタミンB1とともに膵臓からインスリンが分泌されるのを促し、血糖値の上昇を抑える働きがあります。

 

食欲増進

調理によって発生する香りは、唾液や胃液などの消化液の分泌を促進する作用があります。この作用により、食欲を増進させるだけでなく、胃腸の活動が活発になり、消化吸収を促進する効果もあります。

アリシンが摂れる食べ物

にんにく、長ねぎ、たまねぎ、ニラなど

こんな方におすすめ

免疫力を高めたい人

疲労を回復したい人

血糖値が気になる人

おさらい

にんにくの強烈なにおいのもとで、強い殺菌作用があり、ウイルスや細菌から身体を守る

ビタミンB1の吸収を高め、疲労回復の効果が期待できる

ビタミンB1とともに膵臓からインスリンが分泌されるのを促し、血糖値の上昇を抑える


参考文献

・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)

・正しく知れば体が変わる!栄養素の摂り方便利帳(発行所 株式会社PHP研究所)

・NHK出版 健やかな毎日のための栄養大全(発行所 NHK出版)


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