EPAはアジ、イワシ、サバ、カツオ、サンマ、マグロなどの青魚に多く含まれています。EPAは血小板の凝集を抑え、血液をサラサラにするだけでなく、血管を拡張して血行を改善する働きもあります。さらに、中性脂肪やLDLコレステロールを減少させ、HDLコレステロールを増加させることで、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞、高血圧などの生活習慣病の予防効果があります。



EPAとは?

EPAはn-3系の多価不飽和脂肪酸です。同じくn-3系の脂肪酸であるα-リノレン酸を摂取すると、体内でEPAに変換されます。青魚にもEPAは多く含まれています。青魚とは、アジ、イワシ、サバ、カツオ、サンマ、マグロなどの青背の魚を指します。

これらの魚がEPAの主な供給源となっているため、EPAの効果を得たい方は、できるだけ青魚を食卓に取り入れることをおすすめします。特に脂がのった旬のものが効果的です。

青魚の効果が発見されたきっかけは、1970年代にデンマークの研究者によるイヌイットとデンマーク人を対象とした疫学調査でした。

イヌイットの脂肪摂取量はデンマーク人と同程度でありながら、総コレステロール値はイヌイットの方が高く、デンマーク人の2倍もありました。しかし、イヌイットは動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞などの血栓症が非常に少なかったのです。一方、デンマーク人では心筋梗塞が死亡原因の40%以上を占めていました。

この差が何によるものかを調査した結果、イヌイットが普段の食事で摂取しているアザラシや魚に多く含まれるEPAとDHAが、血栓形成を防ぐ効果があることがわかりました。

日本でも千葉県の漁村と農村の食生活を比較調査したところ、同様の結果が得られました。漁村の人々は、農村の人々と比べてEPAの摂取量が2.7倍も多く、血小板の凝集性は農村の人々の3分の1でした。そのため、心筋梗塞や脳障害などの死亡率が低かったとされています。

 

効率的な摂り方

EPAは魚の脂肪に含まれているため、脂肪の損失を防ぐ意味で、刺身での摂取が最も効果的です。煮たり焼いたりすると約20%も流れ出てしまいます。煮る場合は薄味にし、煮汁も一緒に摂ると良いでしょう。

揚げ物にすると、50〜60%も溶け出してしまいます。また、魚は揚げ油を吸収するため、できるだけ避けるようにしましょう。

体内での酸化を防ぐためには、β-カロテンの多い緑黄色野菜やビタミンEの多い種実類(例:胡麻)と一緒に摂ることがおすすめです。これらの食材を組み合わせることで相乗効果が得られます。

 

鮮度の良い魚の選び方

EPAの効果を活かすには、旬の魚で鮮度が良いものを選びましょう。

1尾まるごとの魚は、

・目が澄んでいるか

・腹に弾力と光沢があるか

・尻から内臓が出たり切れたりしていないか

・えらが鮮紅色しているか

・鱗があるものは、鱗がしっかりついているか

・尾部までよく太っているか

などをチェックしましょう。

 

切り身の場合は、

・皮がしっかりしているか

・弾力があるか

・身の色や血合の色が鮮やかか

・皮と身の境目がはっきりしているか

・トレーに水が溜まっていないか

などをチェックしましょう。

EPAの効果

血管を拡張して、血行を良くする

EPAは血小板の凝集を抑え、血液をサラサラにして血栓を予防する効果があります。また、血管を拡張して血行を改善する働きもあります。さらに、EPAは中性脂肪やLDLコレステロールを減少させ、HDLコレステロールを増加させることができます。そのため、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞、高血圧などの生活習慣病の予防に効果があります。

EPAが摂れる食べ物

ハマチ(養殖・皮付き) 450mg

マイワシ 780mg

マサバ 690mg

マアジ(皮付き) 300mg

サンマ(皮付き) 1500mg

クロマグロ(天然・脂身) 1400mg

クロマグロ(養殖・赤身) 420mg

カツオ(秋獲り) 400mg

うなぎ(養殖) 580mg

※可食部100gあたり

※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より

こんな方におすすめ

血中コレステロールが気になる人

血流を改善したい人

高血圧が気になる人

おさらい

アジ、イワシ、サバ、カツオ、サンマ、マグロなどの青魚に多く含まれている

魚がEPAの主な供給源のため、脂がのった旬のものを選ぶのが良い

血をサラサラにしたり、血管を拡張して血行を良くする働きがある


参考文献

・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)

・NHK出版 健やかな毎日のための栄養大全(発行所 NHK出版)


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