葉酸はビタミンB群の一種で、ビタミンB12とともに正常な赤血球の形成を助ける働きがあり、造血のビタミンとも呼ばれています。

細胞の新生に欠かせず、細胞増殖の盛んな胎児の健全な発育にも必要なため、妊娠を考えている女性や妊婦に必要な成分です。



葉酸とは?

葉酸は、水溶性ビタミンのビタミンB群の一種で、ビタミンB12とともに正常な赤血球の形成を助ける働きがあります。葉酸とビタミンB12が協力することで、赤血球のもとになる赤芽球をつくります。どちらかが不足すると赤芽球が巨大化して正常な赤血球が減るため、巨赤芽球性貧血(悪性貧血)の原因となります。

 

葉酸は細胞の遺伝情報が詰まっているDNAの合成に不可欠です。葉酸は補酵素として働くことで、DNAの合成が正常に行われ、細胞の分裂や成熟に大きな役割を果たすことができます。

胎児は細胞増殖が盛んなため、健全な発育のためには葉酸が特に重要とされています。そのため、妊娠を考えている女性や、妊婦の葉酸の摂取推奨量は通常の約2倍となっています。ほかにも人体にとって、新陳代謝をスムーズに行うためにも欠かせない成分です。

 

食事から摂取される葉酸の吸収率は低く50%程度、サプリメントから摂取する葉酸の吸収率は85%程度とされています。食べ物に含まれる葉酸はポリグルタミン酸型が多く、これは別の物質との化合物として存在しています。吸収されるまでにいくつかの段階を経る必要があり、サプリメントより吸収率が低いとされています。

 

葉酸はほうれん草から発見されたように、緑黄色野菜に多く含まれます。水溶性ビタミンであり、ゆでたり、水にさらすなどの調理工程で損失しやすいため、効率的な摂取には電子レンジで加熱する、ゆで汁を捨てないスープにするなど、工夫が必要です。

葉酸の効果

貧血を予防する効果

赤血球は約4か月で生まれ変わるため、体内では常に新しい赤血球がつくられています。葉酸は赤血球のもととなる赤芽球をつくることに関与しており、赤芽球が正常につくられないと赤血球も正常につくられません。葉酸を摂取することは、正常な赤血球をつくることに役立ち、貧血の予防にもなります。

また、葉酸が不足することで起こる貧血は巨赤芽球性貧血(悪性貧血)といいます。

 

成長を促進する効果

葉酸は、DNAの成分を合成する酵素が働くために必要な補酵素です。DNAの合成が正常に行われることで、細胞が遺伝情報を正確にコピーしながら細胞の分裂と増殖を行います。この働きにより新陳代謝や成長が促されます。

 

胎児の神経管閉鎖障害を予防する効果

葉酸が妊娠のごく初期に欠乏すると、胎児の神経管閉鎖障害の危険性が高まります。

妊娠のごく初期に神経管ができますが、これは発達すると脳や脊髄となる器官のため、胎児の神経管に障害が起こると奇形や下半身マヒなどのリスクが発生します。葉酸は細胞の新生に必要なため、摂取することで神経管閉鎖障害のリスクを軽減することが研究で明らかになっています。

 

動脈硬化を予防する効果

葉酸やビタミンB6、ビタミンB12が不足すると、ホモシステインという物質が分解できず、血液中に増えます。血液中にホモシステインの量が増えると、動脈硬化が促進されるため、葉酸の摂取は動脈硬化を予防することにつながります。

葉酸が摂れる食べ物

レバー、緑黄色野菜、果実類、海藻類など

鶏レバー 1300㎍

牛レバー 1000㎍

豚レバー 810㎍

菜の花 340㎍

枝豆 320㎍

モロヘイヤ 250㎍

ブロッコリー 220㎍

ほうれん草 210㎍

アスパラガス 190㎍

いちご 90㎍

アボカド 83㎍

焼きのり 1900㎍

鶏卵(卵黄) 150㎍

糸引き納豆 120㎍

※可食部100gあたり

※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より

こんな方におすすめ!

貧血が気になる人

成長期の子ども

妊娠を考えている人、妊娠中の人

おさらい

正常な赤血球を形成することを助け、貧血を予防する働きがある

細胞の分裂や増殖に欠かせない成分で、新陳代謝や成長を促進する

胎児の神経管閉鎖障害の予防が期待できるため、妊娠を考えている女性や妊婦は積極的に摂る必要がある


参考文献

・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)

・栄養素の通になる 第5版(発行所 女子栄養大学出版部)

・かしこく摂って健康になる くらしに役立つ栄養学(発行所 株式会社ナツメ社)

・日本食品標準成分表2020年版(八訂)

・e-ヘルスネット(厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト)


カテゴリーに戻る

関連記事