鉄を多く含む食品としてよく知られるのは、レバー、赤身肉、魚介類、一部の緑黄色野菜などです。鉄が不足すると、疲れやすくなったり、頭痛や動悸、食欲不振などの貧血症状が起こります。成長期の人や月経のある女性、妊娠中の女性などは不足すると貧血になりやすいので注意しましょう。



鉄とは?

鉄は、成人男性の体内には2〜5g、女性の場合はその約70%が体内に存在しています。その中の約60〜70%は、血液中の色素タンパクであるヘモグロビンの一部であるヘム鉄(機能鉄)として存在しています。残りの30〜40%の鉄はタンパク質と結合し、肝臓や骨髄、脾臓などに貯蔵される貯蔵鉄です。機能鉄は、血液中で赤血球のヘモグロビンの構成要素として機能し、酸素と結びついて肺から取り込んだ酸素を体の各器官に運搬します。一部の鉄は筋肉中に存在し、ミオグロビンというタンパク質として酸素を貯蔵します。このように、鉄は各器官に酸素を運ぶ重要な役割を果たしています。したがって、鉄の不足は体が酸素不足になり、貧血症状が現れる原因となります。

 

鉄は比較的吸収率が低い栄養素ですが、体内で再利用されるため、基本的には排泄によって失われる1日1mgを補充すれば欠乏症は予防できます。ただし、女性の場合は月経によって体外に排出される鉄の量が多いため、注意が必要です。また、無理なダイエットも鉄不足を引き起こす原因となることがあります。

機能鉄が不足しても、貯蔵鉄がその不足を補うため、すぐには貧血症状は現れません。しかし、鉄の摂取が不十分な場合、貯蔵鉄が減少し、潜在的な鉄欠乏状態になります。このような状態では、気付かずに貧血の一歩手前まで進行していることもあります。若年女性の約3分の1から半数が潜在的な鉄欠乏状態にあると言われています。

また妊娠すると血液量の増加に伴い、鉄の需要が増加しますが、貯蔵鉄量が少ないと、妊娠すると貧血になる可能性が高まります。妊娠前から貯蔵鉄を増やしておきましょう。

 

鉄欠乏性貧血になると、赤血球のヘモグロビンの量が低下し、体内への酸素供給が不十分になります。その結果、皮膚は青白くなり、息切れや動悸、疲労感、無気力、食欲不振などの症状が現れることがあります。さらに、舌や口角が赤くただれたり、感染症にかかりやすくなることもあります。

鉄の効果

酸素を全身に運ぶ

鉄は赤血球の成分であるヘモグロビンの構成要素です。肺で酸素と結びついて、全身に酸素を運搬します。

 

血液中の酸素を筋肉に蓄える

筋肉組織に含まれるミオグロビンというタンパク質には鉄が含まれています。血液中のヘモグロビンから酸素を受け取り、筋肉に蓄えます。

鉄が摂れる食べ物

豚レバー 13.0mg

鶏レバー 9.0mg

煮干し(カタクチイワシ) 18.0mg

カツオ 1.9mg

あさり 3.8mg

厚揚げ 2.6mg

糸引き納豆 3.3mg

豆乳 1.2mg

小松菜 2.8mg

※可食部100gあたり

※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より

こんな方におすすめ

貧血が気になる人

妊娠中の人

成長期の子ども

おさらい

鉄は身体中に酸素を運ぶ役割をもっている

女性は月経による鉄の損失があるため、鉄の不足に気をつける

鉄欠乏性貧血になると、息切れや動悸、疲労感、無気力、食欲不振になる


参考文献

・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)

・正しく知れば体が変わる!栄養素の摂り方便利帳(発行所 株式会社PHP研究所)

・NHK出版 健やかな毎日のための栄養大全(発行所 NHK出版)

・食品成分最新ガイド 栄養素の通になる第2版(発行所 女子栄養大学出版部)


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