ラクトフェリンは、鉄と結合する性質をもつ糖たんぱく質で、母乳や哺乳動物の乳などに多く含まれています。

細菌やウイルスに対する力が強く、抗菌作用や免疫機能を高める働きがあります。腸内の善玉菌を増やす働きもあり、腸内環境を整える効果も期待できる成分です。



ラクトフェリンとは?

ラクトフェリンは、鉄と結合する性質をもつ糖たんぱく質で、哺乳動物の乳や涙、唾液、血液中などに存在します。

ラクトフェリンは強い抗菌力で外部から侵入する細菌やウイルスから体を守り、さらに増殖を抑制するため、免疫力を高める働きがあります。腸内ではビフィズス菌などの善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。ほかにも、鉄と結合するため鉄の吸収を調節する作用や抗炎症作用などが知られています。

 

ラクトフェリンの成分名は、ラクト(乳)とフェリン(鉄)をつなげて名付けられたといわれています。ラクトフェリンは鉄と結合しやすい性質から赤みがかった色をしているため、発見当初は「赤いたんぱく質」とも呼ばれていました。

 

ラクトフェリンは、母乳をはじめとする哺乳動物の乳に多く含まれています。ヒトの母乳では、特に出産後数日の間に多く分泌される初乳に多く含まれ、免疫機能が未熟な乳児を細菌やウイルスから守ってくれる働きがあります。

ヒトの初乳(出産後5日目ごろまでの母乳)には100ml当たりに約600mg、常乳(出産後3週間以降の母乳)では約200mgのラクトフェリンが含まれるため、常乳になるとラクトフェリン濃度は3分の1程度にまで減ってしまいます。

一方、牛乳(殺菌前)にもラクトフェリンが含まれていますが、その量はヒトの母乳の10分の1程度で、ヒトの母乳中に含まれるラクトフェリンが多いことがわかります。

 

ラクトフェリンは熱に弱い性質があり、牛乳や乳製品のほとんどが加熱処理をしているため、ほとんどラクトフェリンが含まれていません。摂取する場合は、低温殺菌牛乳やナチュラルチーズ、サプリメントなどがおすすめです。

ラクトフェリンの効果

免疫力を高める効果

ラクトフェリンは強い抗菌力で外部から侵入する細菌やウイルスから体を守り、細菌やウイルスの増殖を抑制します。免疫細胞を活性化させることで、免疫力を高める効果があります。

 

腸内環境を整える効果

ラクトフェリンは腸内のビフィズス菌などの善玉菌のエサになることで善玉菌を増やし、腸内環境を整える働きがあります。

また、生殖医療の分野においてラクトフェリンの摂取が膣内・子宮内フローラを安定にし、妊娠するための環境を整えるとして、妊活で注目されています。

 

貧血を予防する効果

ラクトフェリンは鉄と結合する性質をもつため、鉄が含まれる食品を一緒に摂ることで、吸収率の低い鉄の吸収率を上げる働きがあります。この働きにより、鉄の不足によって起こる貧血の予防が期待できます。

ラクトフェリンが摂れる食べ物

低温殺菌牛乳

ナチュラルチーズ

など

こんな方におすすめ!

免疫力を高めたい人

腸内環境を整えたい人

貧血が気になる人

おさらい

生まれたての乳児を細菌やウイルスなどの感染症から守ってくれる

免疫力を向上させる働きと腸内環境を整える働きで健康維持が期待できる

ラクトフェリンは熱に弱いため、摂取する場合は低温殺菌牛乳やナチュラルチーズ、サプリメントなどがおすすめ


参考文献

・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)

・かしこく摂って健康になる くらしに役立つ栄養学(発行所 株式会社ナツメ社)

・日本ラクトフェリン学会

・腸溶性ラクトフェリン研究所


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