「アピオス」という名前は、形がよく似ている西洋梨の古代ギリシャ語の「アピオン」に由来します。北米原産で、インディアンは特に他の部族と戦うときに精をつけるために食べられ、19世紀まで主食とされていました。明治初期、リンゴの苗木を青森県に取り入れた際に混じっていたアピオスが根付き、増えたものと推測されています。栄養素は豊富であり、水溶性食物繊維が多く含まれています。長期間摂取すると、血圧やLDL(悪玉)コレステロール値を抑制し、血糖値の改善にも効果がある食材と考えられています。
アピオスとは?
アピオスはマメ科のつる性多年草で、つるは3〜4mに伸び、葉は5〜7枚の複葉で、8月ごろには形や匂いが特徴的な赤紫色の花が咲きます。地下茎は1m程度に伸びる過程で5〜10cm間隔に節ができ、これが大きくなって芋となります。11月ごろに直径2〜4cm、長さ3〜6cm程度に成熟した芋は食べることができ、ジャガイモとサツマイモを合わせたような味わいです。
北米原産のアピオスは、現在もアメリカの北東部からフロリダ、テキサスなどの地域で広く自生していますが、日本では青森県から広まったとされています。これはリンゴの苗木を輸入した際に、土中に混じって日本へ入ってきたと考えられており、現在では青森県を中心に種芋や栽培法が取り入れられ、他の県でも栽培されています。インディアンは19世紀まで主食としてアピオスを食べていたと言われており、特に他の部族と戦う際に精をつけるために摂取していたとされています。また、南米アンデス原産のヤーコンや北米原産の菊芋(キクイモ)と共に「世界三大健康野菜」と呼ばれるスーパーフードとしても知られています。
アピオスはマメ科植物であり、そのため栄養価が高く、イソフラボンやサポニンなども含まれています。さらに、水溶性食物繊維も豊富です。ジャガイモと比較すると、カルシウムは約18倍、エネルギーも約2.5倍含まれています。
ただし、アピオスを過剰に摂取すると下痢の可能性があるため、1日に食べるアピオスは3〜4個程度(1個約10g前後)とされています。
長期的に摂取することで、LDL(悪玉)コレステロールを下げ、肝臓への脂肪蓄積を低減し、肝機能の低下を防ぐことで、肥満や生活習慣病の予防や老化防止などに効果があると考えられています。そのため、アピオスを使用した食品開発や、さらなる研究が進められています。
アピオスの効果
■血圧やコレステロールの上昇の抑制
アピオスには血圧上昇およびコレステロール負荷による脂質異常症に対して上昇が抑制されることが分かりました。
■血糖値を改善
アピオスは水溶性食物繊維が豊富なため、長期的摂取によって血糖コントロールが改善されることが分かってきました。
こんな方におすすめ
●高血圧が気になる人
●コレステロール値が気になる人
●血糖値が気になる人
おさらい
●アピオスは北米原産で、19世紀まではインディアンの主食であった
●アピオスはマメ科植物であるため、栄養価が高い食材で、水溶性食物繊維も豊富
●血圧やLDL(悪玉)コレステロールの上昇を抑制したり、血糖値の改善に働く
・津山産アピオスの血糖コントロールへの影響(機能性食品と薬理栄養 14.3.168-168.2020 日本機能性食品医用学会)
・津山産アピオス長期摂取の肝機能への影響(機能性食品と薬理栄養 16.4.243-249.2023 日本機能性食品医用学会)
・国民の健康づくりに向けた 「アピオス」の作付け振興(農林水産省)
・アピオス(アメリカホドイモ)の 血圧降下作用(日本未病システム学会雑誌 11(1):188-193, 2005)
・アピオスの塊茎および花の炭水化物組成(日本食品科学工学会誌 第53巻 第2号 130-136 2006年2月)
・公開特許広報(A)(2007-326790)