にんにくは強いにおいのため、香辛料やスタミナ剤としてさまざまなレシピに使用されます。主な薬理作用は、辛味成分であるアリシンによるものです。
アリシンは冷え性や肩こり、腰痛、低血圧に効果的です。また、ビタミンB1と結合することで吸収力を高め、エネルギー代謝をスムーズに行う役割を果たします。この作用こそが、にんにくが疲労回復に使われる理由となります。
にんにくとは?
にんにくにはビタミンB群やビタミンCなどが含まれており、特にビタミンB1は100gあたり0.19mgと多く含まれています。ミネラルとしては、カリウムが100g中510mgと豊富であり、リンも160mg含まれています。さらに、カルシウムやマグネシウム、鉄、銅、亜鉛などもバランスよく含まれています。
にんにくの強烈なにおいは、無臭成分のアリインに酵素のアリイナーゼが作用し、強烈なにおいを持つアリシンに変化することによって引き起こされます。このアリシンには強力な殺菌作用があり、体内にウイルスや細菌が入ると抑え込んでくれます。この効果は生でも加熱しても変わりません。
アリシンは毛細血管を拡張し、心臓や胃腸の機能を活性化させ、冷え性を改善します。また、神経痛、肩こり、腰痛、低血圧にも効果的です。さらに、アリシンは疲労回復のビタミンとされるビタミンB1と結合することで、アリチアミンという物質に変化します。アリチアミンは脂溶性で吸収されやすく、体内に長く留まる特性を持ち、ビタミンB1と同様の疲労回復効果を発揮します。
アリシンの分解過程では、システインという含硫アミノ酸が生成されます。この含硫アミノ酸は、血中のHDL(善玉)コレステロールを増やし、LDL(悪玉)コレステロールを減少させる働きがあります。コレステロールの酸化を抑制することで、動脈硬化を防ぎ、高血圧などの生活習慣病を予防することができます。
■調理との組み合わせ
にんにくを切ったりすり潰したりすることで細胞が破壊され、酵素の働きが活発になります。そのため、料理でにんにくを細かくした後は、約10分間放置して酵素を充分に活性化させるとアリシンの効果や香りをより一層高めることができます。
また、にんにくを焼くことで味がなめらかになり、より食べやすくなります。
■選び方
粒が大きくて締まったもの
■おすすめの保存方法
長期保存するときは、傷がつかないように鱗片をばらしてラップに包んで冷蔵庫の野菜室へ
にんにくの効果
■血流改善に
にんにくに含まれるアリシンが毛細血管を広げて心臓や胃腸の機能を活発にして、冷え性を改善します。
■疲労回復に
アリシンは、疲労回復のビタミンと言われるビタミンB1と結合すると、アリチアミンという物質になります。体内に長くとどまる性質を持っているため、ビタミンB1と同様の疲労回復効果を発揮します。
■高血圧の対策に
アリシンは分解される過程でシステインという含硫アミノ酸をつくり、コレステロールの酸化を抑制します。高血圧などの生活習慣病の予防が期待できます。
こんな方におすすめ
●冷え性で悩んでいる人
●疲労を回復したい人
●高血圧が気になる人
おさらい
●にんにくには、ビタミンB1をはじめとするビタミンやミネラルなどの成分がバランスよく含まれている
●にんにくの強いにおいや辛味成分はアリシンによるもの
●アリシンには、血流改善や疲労回復の働きがある
・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)
・春夏秋冬 おいしいクスリ 旬の野菜の栄養事典(発行所 株式会社エクスナレッジ)