シカクマメは熱帯アジアで広く栽培され、食用として注目されています。耐寒性がないため日本での露地栽培は難しく、沖縄が主な生産地。品種改良により夏でも開花するものがあり、南九州や四国地域で栽培が始まっています。食用部位は若莢、花、蔓先、種子、塊根で、タンパク質と脂質が豊富です。



シカクマメとは?

シカクマメは、マメ科のつる性草本植物で、東アフリカ原産とされており、現在主に熱帯アジアで野菜として広く栽培されています。莢は長さ15〜20cmで、4本のギザギザのかどがあり、莢の断面が四角形をなすのが和名の由来と言われています。

シカクマメは熱帯アジアやアフリカでは多年生であるが、日本では冬が低温のため一年生になります。原種は短日性で開花・結実は晩秋から冬にかけて行われます。耐寒性がないため、沖縄県を除けば日本での露地栽培は難しいとされていましたが、旧農林水産省熱帯農業研究センターが夏でも開花する「うりずん」という品種を育成したことにより、南九州や四国地域での栽培がところどころで始まったようです。

シカクマメは明治時代から日本に導入されていますが、その食用価値は見出されず、観賞用植物として扱われてきました。近年、食の多様化や植物の持つ機能性がよく知られるようになり、シカクマメは食用として栽培が始まっています。現在の生産量は統計上扱われていないものの、最も盛んに栽培されているのは沖縄と言われています。

また、シカクマメの利用可能な部位は若莢、種子、および塊根ですが、野菜として若莢を摂食することが日本人の食習慣に適していると考えられています。可食部はタンパク質を多く含み、特に塊根は他のイモ類と比べ3〜7倍のタンパク質を豊富に含むことから、新しい食材として期待されています。

さらに、莢は成熟に伴い生体防御分子として機能し、糖鎖に結合活性を示すタンパク質の総称であるレクチン含量が高まることが報告されているようです。 若莢は癖がなくて食感がよく、カルシウムやビタミンKが豊富に含まれています。牛乳に比べマメ科植物のカルシウムは一般的に吸収されやすいとされていることから、今後機能性食品としての普及の可能性が大きいと考えられています。

シカクマメと同様に若莢を食用とするサヤインゲンと栄養成分を比較したところ、収穫適期のシカクマメ(うりずんの場合)では、脂質、ビタミンA、ビタミンBの含有率がサヤインゲンより多いという報告がありました。

 

保存方法

シカクマメの若莢は冷蔵は不向きと言われています。莢の劣化を防ぐためには、黒色のポリエチレン袋に包み風通しの良い室内の日陰に置いておくと、2週間以上保存が可能と言われています。冷蔵庫を使用しなくても保存できるので便利です。

 

調理方法

天ぷら、ごまあえ、ベーコン巻きといった食べ方には人気があるようです。また茹でただけでもマヨネーズと合います。

シカクマメの効果

免疫力を高める効果

シカクマメの塊根は、タンパク質を豊富に含みます。タンパク質は体を構成する細胞になるほか、体を細菌やウイルスなどから守る免疫細胞のもとにもなります。免疫細胞が活性化されると、免疫力を高めることにつながります。

 

肌荒れ予防

シカクマメに含まれているビタミンAは、皮膚や粘膜などの上皮細胞の形成や機能に重要な役割を果たしています。上皮細胞は体内に侵入する病原菌を防ぐ役割があり、ビタミンAが不足すると皮膚が乾燥し、肌荒れが生じる可能性があります。

 

骨の形成を助ける

シカクマメは、カルシウムが多く含まれており、また腸から吸収されたカルシウムを骨に取り込むビタミンKも豊富なため、骨粗鬆症の予防も期待できます。

こんな方におすすめ

免疫力を高めたい人

肌の調子が気になる人

骨粗鬆症が気になる人

おさらい

シカクマメは熱帯アジアで広く栽培され、日本では主に沖縄が生産地

特に塊根は他のイモ類と比べ3〜7倍のタンパク質を豊富に含む

シカクマメの若莢は、カルシウムやビタミンK、ビタミンAなども豊富


参考文献

・シカクマメの栽培体系の確立に関する研究(農業生産技術管理学会誌 14 (3), 192-197, 2008-03-15

シカクマメ新品種‘ウリズン'の小笠原における適応性(東京都農業試験場研究報告 = Bulletin of the Tokyo-to Agricultural Experiment Station (20), 1-18, 1987-03)

上場地域におけるシカクマメ栽培の試み(Coastal bioenvironment 巻 16, p. 25-29, 発行日 2010-12)


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