ゲットウ(月桃)は沖縄に自生するショウガ科の多年草で、葉に芳香があり、虫除けや防カビに使われてきました。茶や精油としても利用され、抗酸化成分により胃腸の潰瘍予防効果が期待されます。種子にはミネラルや食物繊維が豊富で、血圧・血糖値の低下や便秘改善に役立ちます。伝統菓子ムーチーにも用いられ、葉の抗菌性が保存性の向上に寄与しているとも考えられます。根茎から大きな葉を伸ばし、それらの葉鞘が重なることで“偽茎”と呼ばれる茎状の構造を形成します。観賞用として品種改良された園芸品種も流通しています。
ゲットウとは?
ゲットウ(月桃)とは、インド南部や東南アジアなどの亜熱帯地域に群生するショウガ科の多年草で、日本では主に沖縄の野山に自生しています。楕円形の葉には独特の芳香があり、古くから沖縄では虫除けや防カビ剤として利用されてきました。ゲットウ茶としてハーブティーに使われるほか、葉から抽出した精油も流通しています。
抗酸化作用を持つポリフェノールやデヒドロカワイン類が豊富に含まれているため、胃や腸の潰瘍の予防に効果があるとされています。
種子には多くのミネラルや食物繊維が含まれており、血圧や血糖値の低下、ダイエット効果、便秘解消など、さまざまな健康効果が期待されます。
沖縄の伝統的な餅菓子「ムーチー」を作る際にも使用されます。葉には抗菌作用があるため、お餅に香りを移すと同時に、防腐の役割も果たしていると考えられます。
ゲットウは人の背丈を超えるほど大きく育ちますが、明確な幹や枝葉を持ちません。地下にはショウガと同様に根茎があり、そこから葉鞘と葉身からなる大きな葉を次々に伸ばします。このため、葉の根元の葉鞘が幾重にも重なり合い、まるで茎のように見える「偽茎」を形成します。これはショウガやバナナなどにも見られる特徴です。
観賞用として、葉に黄色い斑が入った「キフゲットウ」という園芸品種も存在します。
ゲットウの効果
■腸内環境を整える効果
ゲットウに含まれる食物繊維は、腸内に溜まった老廃物や有害物質を吸着し、体外へ排出する働きがあります。また、腸内の善玉菌であるビフィズス菌や乳酸菌を増やす働きもあるため、腸内細菌のバランスが良くなり、腸内環境の改善に役立ちます。
腸内環境が整うことで、便秘の予防や改善にも効果が期待できます。
■コレステロール値を下げる効果
水溶性食物繊維には吸着性があるため、胆汁酸が腸管内で吸収されるのを防ぐ働きがあります。胆汁酸は肝臓でコレステロールを原料としてつくられるので、胆汁酸の排出を促進することで、結果的にコレステロール値の低減に役立ちます。
不溶性食物繊維にも胆汁酸の排出を促進する働きがあるので、血中のコレステロール値を下げる効果があります。
■血糖値を抑える効果
水溶性食物繊維は粘度が高く、一緒に食べたほかの食べ物と混ざることでゼリー状になり、小腸までゆっくり進みます。小腸での糖質の吸収速度がおだやかになるため、食後の急激な血糖値の上昇を抑える効果があります。
こんな方におすすめ
●腸内環境を整えたい人
●便秘で悩んでいる人
●コレステロール値や血糖値が気になる人
おさらい
●ゲットウ(月桃)は沖縄に自生して、葉に芳香があり、虫除けや防カビに使われてきた
●茶や精油としても利用され、抗酸化成分により胃腸の潰瘍予防効果が期待される
●種子にはミネラルや食物繊維が豊富で、血圧・血糖値の低下や便秘改善に役立つ
・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)
・身近な薬用植物ものしり帖(発行所 ベレ出版)
・知識ゼロからの健康茶入門(発行所 幻冬舎)
・食事の摂取順序による血糖値への影響(第2報)(長崎女子短期大学紀要第41号平成28年度〈2017.3〉)