カリウムは、成人の体内に体重1kgあたり約2g含まれ、その98%は細胞内に存在します。
細胞外に多いナトリウムと相互に作用しながら、細胞の水分量や浸透圧を調整する働きがあります。余分なナトリウムの排出を促し、血圧を下げる効果が期待されています。
カリウムとは?
カリウムは、人体に必要なミネラルの一種で、成人の体内には約120~200gが含まれています。遊離イオンやリン酸塩、たんぱく質との結合体としてそのほとんどが細胞内にありますが、ごく一部は血液やリンパなどの体液(細胞外液)や骨にも含まれています。
カリウムは細胞外液に多く含まれるナトリウムと相互に作用し、細胞内外の水分やミネラル量を調節しています。カリウムとナトリウムの濃度やバランスは、細胞の水分量や浸透圧に影響を及ぼすため、細胞膜にはカリウムとナトリウムをくみ出すポンプ機能があり、常に適切な濃度を保つようにコントロールされています。
また、細胞内の酵素反応を調節し、エネルギーの代謝をスムーズにします。筋肉の収縮・弛緩の働きや神経伝達を正常に保つためにも働くほか、過剰なナトリウムの尿への排出を促す作用もあるため、むくみや高血圧の予防にも役立ちます。
カリウムは野菜類や芋類、果実類、海藻類などの食材に含まれていますが、不足しやすいミネラルといわれています。
水に溶けやすいため調理で失われやすく、煮た場合は約30%も損失します。水に溶けやすい性質から、ゆで汁を捨てないスープや鍋料理などで摂取するか、調理なしで食べられる生野菜や果物などを摂取する方法がおすすめです。
カリウムの効果
■高血圧を予防する効果
ナトリウムは体にとって必要なミネラルですが、摂り過ぎると高血圧の原因になります。
カリウムは、過剰なナトリウムを尿として排出する働きを促すため、高血圧の予防に効果があります。
■むくみを予防・改善する効果
ヒトの体は約60%が水分でできており、水分が細胞と血管の間を循環しています。ナトリウムの過剰摂取やカリウムの不足などにより、体内の水分バランスが崩れてしまうとむくみにつながることがあります。カリウムを摂ることで、体内の水分バランスが調整され、むくみの予防や改善が期待できます。
■筋肉を正常に保つ効果
カリウムが不足すると、筋力の低下や痙攣などを起こすことがあります。カリウムはナトリウムと協働し、神経伝達をスムーズにすることで筋肉の収縮や弛緩を正常に保つ働きがあります。
カリウムが摂れる食べ物
野菜類、芋類、果実類、海藻類など
切り干し大根(乾) 3500mg
ほうれん草 690mg
ニラ 510mg
小松菜 500mg
里芋 640mg
さつまいも 480mg
じゃがいも 410mg
干し柿 670mg
バナナ 360mg
キウイフルーツ 300mg
ひじき(乾) 6400mg
※可食部100gあたり
※日本食品標準成分表2020年版(八訂)より
こんな方におすすめ!
●高血圧が気になる人
●むくみが気になる人
●筋肉の調子を整えたい人
おさらい
●過剰なナトリウムを排出して高血圧の予防が期待できる
●水分バランスを調節してむくみの予防効果がある
●水に溶けやすいのでスープなど汁ごと摂れる料理や、生野菜や果物などで摂るのがおすすめ
・完全図解版 食べ物栄養事典(発行所 株式会社主婦の友社)
・栄養素の通になる 第5版(発行所 女子栄養大学出版部)
・かしこく摂って健康になる くらしに役立つ栄養学(発行所 株式会社ナツメ社)
・日本食品標準成分表2020年版(八訂)
・e-ヘルスネット(厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト)