鹿ケ谷かぼちゃは、京都の伝統野菜で形がユニークであり、栄養価も高いです。1804年から1818年に津軽地方から持ち帰った菊かぼちゃの種が始まりで、中風に効能があるとされます。粘り気があり、煮炊きしても崩れず、水分が多くあっさりとした味わいです。リノレン酸の含有量は通常のかぼちゃの6〜7倍もあります。
鹿ケ谷かぼちゃとは?
形がユニークさのみならず、栄養価の高さでも注目される「鹿ケ谷かぼちゃ」。その形を生かして、食用のほかにも、インテリアなどにも使われることがあります。
五山の送り火で有名な大文字の麓、京都市左京区鹿ケ谷付近で栽培が普及した伝統野菜です。今はあまり市場で見られませんが、昔は京都でかぼちゃといえば「鹿ケ谷かぼちゃ」のことだったようです。元は文化年間(1804〜1818)、今の東山区栗田口のお百姓さんが、津軽地方から持ち帰った菊かぼちゃの種を栽培したのが始まりで、鹿ケ谷で作られているうちに今のような形ができあがったと言われています。昔から中風にご利益ありと伝えられ、鹿ケ谷の安楽寺では、毎年7月の中風封じのかぼちゃ供養で、鹿ケ谷かぼちゃの煮物が参拝者に振る舞われるとのことです。
果肉は粘質で緻密。煮炊きしても煮崩れせず、調理しやすいのが特長です。西洋かぼちゃに比べて水分が多く、あっさりとしているので、いろいろな楽しみ方ができそうです。
かぼちゃの中でも、栄養価が高いとされる鹿ケ谷かぼちゃは、特に成人病予防に効果を発揮するとされ、リノレン酸の多さは、普通のかぼちゃのなんと6〜7倍もあります。
■鹿ケ谷かぼちゃの選び方
皮が硬く重さのあるもの。表面に白い粉が吹いて橙色なら完熟しています。
■調理方法
鹿ケ谷かぼちゃは、味が淡白な分、どんな味付けにもしやすい素材です。水分が多いので、そのまま焼いて食べるより、煮物やスープ、グラタンなどにしていただくのがおすすめです。
■鹿ケ谷かぼちゃのそぼろあんかけ
炊いたかぼちゃに肉のそぼろのあんをかけた、かぼちゃ料理の代表的な一品。
■鹿ケ谷かぼちゃのグラタン
ホワイトソースに鹿ヶ谷かぼちゃなどの具を入れ、オーブンで焼いてグラタンに。
■鹿ケ谷かぼちゃのスープ
西洋かぼちゃ同様に、ミキサーをかけ生クリーム、固形ブイヨンを加えてパンプキンスープに。
■鹿ケ谷かぼちゃの肉詰め
鹿ケ谷かぼちゃをタテに半分に切り、中に鶏のひき肉や野菜を入れてオーブンで焼く。
鹿ケ谷かぼちゃの効果
■老化の防止に
鹿ケ谷かぼちゃに含まれるビタミンCには、抗酸化作用が強く体内の酸化を抑制する働きがあります。
■むくみの防止に
ヒトの体は約60%が水分でできており、水分が細胞と血管の間を循環しています。ナトリウムの過剰摂取やカリウムの不足などにより、体内の水分バランスが崩れてしまうとむくみにつながることがあります。鹿ケ谷かぼちゃに含まれるカリウムを摂ることで、体内の水分バランスが調整され、むくみの予防や改善が期待できます。
■便秘の改善に
鹿ケ谷かぼちゃに含まれる食物繊維は、腸内に溜まった不要な老廃物や有害物質を吸着し、体外へ排出する働きがあります。また、腸内の善玉菌であるビフィズス菌や乳酸菌を増やす働きもあるため、腸内細菌のバランスが良くなり、腸内環境の改善に役立ちます。
腸内環境が整うことで、便秘の予防や改善にも効果が期待できます。
こんな方におすすめ
●老化が気になる人
●むくみが気になる人
●便秘で悩んでいる人
おさらい
●鹿ケ谷かぼちゃは、京都の伝統野菜で形がユニークであり、栄養価も高い
●粘り気があり、煮炊きしても崩れず、水分が多くあっさりとした味わい
●リノレン酸の含有量は通常のかぼちゃの6〜7倍もある
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